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「パナマ文書」に世界で最も怯える中国、最高指導部の半分以上に汚職疑惑

各国要人の不正蓄財疑惑が暴露された形となった「パナマ文書」の流出劇。中国でも習近平氏をはじめ最高幹部らの名が上がっており、政権は情報隠しに汲々としていると伝えられています。メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では、パナマ文書が「中国経済の破綻から政権瓦解までに広がる可能性を秘めた超ド級のリーク」とし、その理由を詳しく解説しています。

【中国】ドミノ倒し的に中国を崩壊に導くパナマ文書の衝撃

習氏親族記載にピリピリ=「パナマ文書」情報を封鎖―反腐敗闘争に影響も・中国

中国は習近平のスキャンダル隠しに必死です。以前のメルマガでも、習近平や最高幹部たちの汚職情報やスキャンダル情報を持ってアメリカに逃亡した令完成(胡錦濤の側近で、習近平の反腐敗運動で失脚した令計画の弟)を、習近平政権は必死になって取り戻そうとしていることはお伝えしました。

中国の機密暴露か。米国に亡命した共産党要人のリークに震える習近平

それに加えて、今度は「パナマ文書」です。これは、「タックスヘイブン」と呼ばれる税金の安い国に巨額の富を投資する企業や団体、個人名と、その取引の詳細が記された極秘文書で、これが国際的に流出して話題となっています。

それによると、習近平の姉の夫、中国共産党序列5位の劉雲山政治局常務委員の親族、序列7位の張高麗副首相の親族が、それぞれイギリス領バージン諸島のペーパーカンパニーの株主になっていたとされています。要するに、不正蓄財で蓄えた金をタックスヘイブンへ移して、企業株主になることでマネーロンダリングをしていた疑いが浮上したわけです。

すなわち、チャイナ・セブンと言われる最高幹部の党中央政治局常務委員7人のうち、3人にそうした疑惑が浮上したことになります。加えて、2015年4月にはアメリカ政府当局がJPモルガンに対して、反腐敗運動を主導する王岐山に関する情報提供を求めており、要するに王岐山にも汚職疑惑が浮上していました。要するに習近平を含めて、最高指導部の半分以上に汚職疑惑が発覚したということなのです。

ご承知の通り、中国では、このスキャンダルを報じるニュース番組は放送を中断されネットでも閲覧禁止となっています。確かに、反腐敗運動を全面的に推進している習近平自身が不正蓄財していたということになれば、民衆の反発は必至です。中国の外務省も、記者からの質問に対して「雲をつかむような質問には答えられない」とトボけるしかありませんでした。

アメリカ司法省もこのパナマ文書を精査すると発表していますが、令完成の機密情報とともに中国要人の資金の流れが徐々に解明されていくことでしょう。そうなれば習近平政権はアメリカに弱みを完全に握られることになります。

パナマ文書については、世界各国の大統領の名前が登場し、世界中を震撼させています。一部を挙げると、ロシアのプーチン大統領、イギリスのキャメロン首相、ウクライナのポロシェンコ大統領、アルゼンチンのマウリシオ・マクリ大統領などのほか、ジャッキーチェンやスペインのサッカー選手メッシなどの著名人の名前も挙がっています。

フランスやメキシコなどは、この文書を受けて該当機関の調査に乗り出し、アルゼンチンでは大統領に捜査の手が伸びています。また、それまでも不正蓄財が疑われていたアイスランドのグンロイグソン首相は、これがダメ押しとなって辞任に追い込まれました

辞任のアイスランド首相、巨額私財隠しの疑い

流出もとは、中米パナマにある法律事務所です。この法律事務所はハッキング被害にあって情報が流出したと、被害者ぶっているようですが、それ以前にやっていることが合法なのか非合法なのかを考えたほうがいいでしょう。

「パナマ文書」何を明らかに

一方、アメリカ要人の名前が上がっていないことから、この文書流出はアメリカが仕掛けたものだという説もあります。たしかに現在のところ、アメリカにとっては各国に対して優位に立つことができる、非常に都合のいい文書だといえるでしょう。

パナマ文書の流出によって、イギリスのキャメロン首相も父親がパナマで開設したファンドに投資して利益を得ていたということが判明し、さらに母親からも20万ポンドの贈与を受けていたことが明らかになると、ロンドンでは1,000人以上の市民が辞任を求めるデモを行いました。キャメロン首相の人気は急落しています。

6月にはイギリスがEUから離脱するかどうかを問う国民投票が行われますが、EU残留派であるキャメロン首相への反発が広がり、EU離脱気運が高まる可能性があります。また、キャメロン首相が失脚し、政権交代ということになれば、中国も大きなダメージを食らうことになるはずです。というのも、キャメロン政権は中国の後ろ盾となってAIIBへの参加を真っ先に表明したり、人民元をIMFのSDR構成通貨に入れることを後押ししてきたからです。

昨年10月に習近平がイギリスを訪問した際のキャメロン首相の歓待ぶりには、イギリス国内からも批判が相次ぎました。とくに中国の鉄鋼ダンピングに対して、イギリスの鉄鋼業界は強い不満を表明しており、習近平の訪英中にも強い批判が起きていました。

万が一、キャメロン政権が崩壊した場合、習近平はヨーロッパにおける拠り所を失ってしまいます。AIIBは、イギリスが参加を表明したから箔がついたようなものの、もし反キャメロンを掲げた政権が成立し、中国の人権問題や南シナ海での暴挙を問題視してイギリスがAIIBと距離を置くようなことになれば、AIIBは壊滅状況に陥るでしょう。人民元の国際化も破綻し、ドミノ倒しのように中国経済は袋小路に陥る可能性があります。

ただでさえAIIBの起債は無格付けで信用力が低いのですが、それでもイギリスがメンバーにいるからまだなんとかなると中国は思っていたはずです。しかしイギリスが抜けるようなことがあれば、これが根底から覆ります。ちなみにこの最初のAIIBの債権は、設立準備担当幹部によれば、韓国が引き受けることになっているとも言われています。しかし、とんだババを掴まされることになりそうです。

AIIB債、無格付け発行=設立当初、韓国引き受けか

次第に化けの皮が剥がれ始めている習近平政権ですが、それだけに中国は情報統制に神経をとがらせ、パナマ文書に限らず、習近平を批判するものはすべて国内では閲覧禁止にするつもりのようです。米紙タイムや英紙エコノミストも、習近平批判がらみの記事があるためWEBで閲覧不能となりました。なりふりかまわない必死さが滑稽です。

さらに、先日の先進7カ国(G7)外相会合の声明に、東・南シナ海の状況に対する懸念と一方的な行動への反対が明記されたことについて、中国外務省の陸慷報道局長は、G7が一部の国の私利によって動かされるなら「G7自身の影響や役割、将来の発展に必ずしも役立たないだろう」と反論しました。国内経済が混乱し、自身の身にも疑惑が噴出しているとなれば、習近平は対外的に強気に出て、強いリーダー像を国内に喧伝するしかない、ということなのでしょう。

このように、様々な危険な要因を孕み、叩けばホコリが出る習近平政権ですから、せめて人民の愚民化で保身を突き進もうというわけですが、このインターネット時代において情報のシャットアウトはなかなか難しいでしょう。となると、いずれパナマ文書の内容が中国民衆に伝わることは避けられないということになります。アメリカも習近平に関する情報を入手し、これを脅しの武器として習近平政権を揺さぶろうとしてくることは目に見えています。

はたして、習近平政権はどこまで対外的な強硬姿勢を貫けるのか見ものです。

中国5,000年の歴史文化は「無官不貪汚職をしない役人はいない)」という社会の仕組みになっているので、いくら反汚職運動を展開しても終わりはありません。雍正帝の時代、習近平以上の大虎狩りをしたことがありました。しかし、いくら汚職罪に死刑を課しても中国人は「カネのためなら命も惜しくないということで、まったく汚職は減りませんでした。

習近平と馬英九のやり方は、まさにこの中国人根性丸出しです。馬英九は、かつて台湾の陳水扁元総統を汚職の罪で収監しましたが、彼は叩いても叩いてもホコリが出なかった。逆に、馬総統には司法問題が144件も挙がっています。総統退任後は、北京かアメリカに逃亡するしかないでしょう。

習近平の運命も馬英九と同じです。毛沢東が亡くなった後の江青と華国鋒は、罪人としてみじめに死んでいきました。トウ小平が亡くなった後のトウ一族は、上海幇に血祭りにされ、命からがら海外へ逃亡しました。

習近平と馬英九は、党内の長老たちを一掃するために反腐敗運動という名の虎狩りを敢行しています。やらなければやられるのが中国人の定めだからです。習近平も馬英九も、新米のわりには奮闘し、同情の余地もありますが、中国人として生まれたのがそもそもが悲劇なのです。

多くの中国人が、中国の軛(くびき)から逃れたがっていますが、逃れようもありません。それならば、習近平のように運命と命を共にするしかありません。戦うための情報統制なのです。そして、情報統制された中国人たちはますます愚鈍化していきます。

ノーベル平和賞を受賞した劉暁波の言葉で、「中国では学があればあるほど奴隷となる」というのがあります。ことに博士号を取った人間は、ほぼ確実に中国の奴隷となっています。これは事実であり、彼の妄言ではありません。中国の伝統では、バカだけが国家指導者に選ばれるとも言われています。利口者は若いころに、その芽を摘まれてしまうからです。習近平も例外ではありません。彼には、スターリン主義やら毛沢東主義などの時代錯誤の道しか残されていないのです。

このようにパナマ文書は単なる習近平のスキャンダル暴きにとどまらず、習近平政権が打ち出したさまざまな戦略を一気に崩壊させ、中国経済の破綻から政権瓦解までに広がる可能性を秘めた超ド級のリーク文書なのです。

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黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』より一部抜粋

著者/黄文雄
台湾出身の評論家・黄文雄が、歪められた日本の歴史を正し、中国・韓国・台湾などアジアの最新情報を解説。歴史を見る目が変われば、いま日本周辺で何が起きているかがわかる!
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