弁護士費用の相場ってどれくらい? 現役弁護士に計算方法を聞いてみた

 

本来は上記のように、委任をする際に報酬を取り決め、納得したうえで契約をすべきですが、弁護士報酬の妥当性を判断するひとつの目安としては、過去に弁護士会が定めていた報酬規程(以下、「旧規程」とします)があります。冒頭で述べたように、現在は廃止されていますが、多くの弁護士がこの規程を参考に報酬を定めています。

まず、弁護士報酬は依頼者が得る利益(経済的利益)を元に、そのうち何%を得るか、という方式を基本として計算するのが一般的だと言えます(かかった時間単位で計算を行うケースもあります)。例えば、「貸したお金を返してくれないから取り戻したい」という場合、経済的利益は「貸したお金」の額となります。

ところが、相続に関連する事案の場合、経済的利益を計算する元となる「相続財産はいくらなのか?」を確定する必要があります。また、相続人間に争いがある場合、「実際に依頼者が得る(経済的利益の)金額がいくらになるか?」が読めないケースも多いです。そのため、関係者間の取り分や、計算の元になる数字が確定し始める、事案処理の後期になって、ようやく報酬額がわかるということは多いとお考えください。

仮に、今回のケースで、相続財産の範囲あるいは相続分に争いがあり、最終的に4800万円を受け取ることで決着した場合、経済的利益が4800万円となりますので、旧規程によると、着手金が210万円前後、成功報酬が420万円前後、合計で630万円程度というところではないかと思われます(ただし、この計算は裁判に及んだ場合を想定した金額であって、ご相談者様のように調停で解決しそうな事案ではもう少し低くなるとも考えられます。他方で、長期間の時間を要した点ではコストアップにつながっているとも思われます。そのため、あくまで目安とお考えください)。

このように考えると、相続額の1割を超える額というのも「実は十分にありえる」金額だという点をご理解いただければと思います。しかしながら、こうした経緯や、そもそもの報酬体系について説明を尽くしていたかは「?」が付く事案だと思われます。気になるようでしたら、報酬が算定された経緯や掛ったコストの細目などを提出してもらうように依頼されてはいかがでしょうか? その細目を見て、納得いかなければ、依頼されている弁護士の方が所属する弁護士会に対して紛議調停を申し立て(弁護士法41条参照)、調停委員を交えた金額の折衝を行うという手だてもあります。

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