あの三島由紀夫らが絶賛した昭和の奇書「家畜人ヤプー」。この小説をモチーフにした伝説のSMクラブ『家畜人ヤプー倶楽部』が、45年ぶりに復活することになりました。その仕掛け人はMAG2 NEWSでもおなじみ、康芳夫さん。かつて野坂昭如、遠藤周作、吉行淳之介などが足繁く通ったという会員制高級サロンとは一体どんなものだったのでしょうか? 今回はニュース記事とはひと味違う、ルポルタージュ風に取材内容をまとめました。
昭和を動かしたトンでもない男
それは一本のタレコミからはじまった。
マスメディアには載らない裏情報を調査するMAG2 NEWSのルポライター・タキバヤシは、今日も世間には公表されないミステリアスなニュースを探していた。
そんなMAG2 NEWS編集室に、謎の画像が寄せられた。
ヒダカ「おい、タキバヤシ!康芳夫さんに関するタレコミが入ったぞ」
タキバヤシ「コ、コウヨシオ?」
ヒダカ「お前知らないのか? 康芳夫さんって言えば、あのモハメド・アリを日本に招聘してアントニオ猪木と戦わせた黒幕として知られる人物だよ」
タキバヤシ「あれって猪木が挑発したから怒って来日したんじゃないんですか?」
ヒダカ「んなわけないだろ。アリといえば当時は既にボクシングヘビー級世界チャンピオンだよ。世界的スーパースターと交渉した男がいたんだよ。裏で」
タキバヤシ「なんだ、アリがプロレスファンだから、猪木の挑戦を受けたのかと思ってた」
ヒダカ「表舞台には現れない方だからな。でも康芳夫さんのすごさはそれだけではない。人と猿の混血として騒がれたオリバー君を日本に呼び寄せたり、そのオリバー君をテリー伊藤に世話させたり、あの石原慎太郎にネス湖のネッシーを探検させたり。まさに昭和の大衆を熱狂させた国際暗黒プロデューサーと言われているんだ」
タキバヤシ「暗黒プロデューサー(ゴクリ)……なにその中2っぽい呼び方」
ヒダカ「またの名を虚業家ともいう」
タキバヤシ「つまりニセモノ?」
ヒダカ「違う違う。実業家に対して、なにもないところから生み出すから虚業家」
タキバヤシ「つまりペテン師?」
ヒダカ「バカっ!彼は東大卒だよ」
タキバヤシ「でもなぜそんなエリートがそんな怪しい人に…」
ヒダカ「彼は戦後の見世物小屋を見て楽しむ客達を見てこう思ったんだ。種も仕掛けもある見世物なのに、これに熱狂する客達の目はホンモノだと。つまり彼らの虚を見る目は本物だと。そして彼は興行師としての道を歩むことになったと言われている」
タキバヤシ「実のあるものではなく、虚から生み出すビジネス…だから虚業家なのか」
ヒダカ「その後、彼は日本を熱狂させるイベントを数々と仕掛けていく。その一例がこれ」
ソニー・ロリンズ招聘/アラビア大魔法団/日本インディ200マイルレース/「血と薔薇」創刊/「家畜人ヤプー」出版プロデュース/トム・ジョーンズ講演/アリvs猪木戦/ネッシー捕獲探検隊/人喰い虎vs空手家山元守/ロス五輪独占中継/ボリショイサーカス
タキバヤシ「にわかに信じがたいですが、そんな大物が日本にいたんですね。昭和ってすごいなぁ」
ヒダカ「バカ、まだ生きてるよ。仮にもまぐまぐでメルマガを出しているだろ」
タキバヤシ「な、なんだってーー! あれはゴーストライターが書いてるのかと思った」
ヒダカ「死んでるのにゴーストライターがいたらおかしいだろ。いやむしろ本当のゴーストライティングになるだろ!」
タキバヤシ「で、そのタレコミってどんな内容なんですか?」
ヒダカ「詳細は不明だけど、どうやら、康さんがまた何か仕掛けるっぽいんだ。関係者でその打ち合わせが秘密裏に行われるっぽいんだけど、おまえも行くか?」