安倍GDPがまたも民主党に惨敗…アベノミクスとは何だったのか?

安倍GDPがまたも民主党に惨敗…アベノミクスとは何だったのか?
 

世界の中で恥ずかしい国

安倍は6月1日の会見で、こう言った。

中国など新興国の経済が落ち込んでいます。その中で、世界経済において、需要の低迷、また成長の減速が懸念されているわけであります。こうした世界経済のリスクについて、今回、伊勢志摩の地において、日本が議長国として行ったサミットにおいて、この世界経済の状況、リスクについて認識を共有したわけであります。そうした中において、新たな危機に陥ることを回避するため、適時に全ての政策対応を行うことで合意をし、これが首脳宣言に明記されたわけであります。

G7と協力して、日本としても構造改革の加速や財政出動など、あらゆる政策を総動員していかなければなりません。それが正に今回、議長国として首脳宣言を作成する、いわばリーダーシップをとった国の責任でもあろうと思います。正にこういうリスクのある中において、需要が低迷する、成長が減速する、このリスクの中でやるべきことを全てやっていかなければならないという中において、私たちが進めてきた、いわば「三本の矢」の政策を、G7でこの「三本の矢」の政策を進めていく。この認識を共有したわけであります。この認識を共有する中において、この議論を主導した議長国日本としての責任があるだろうと思います。

その中で、先ほど申し上げましたが、政治的な責任、かつて言っていたことと違うではないか。確かにリーマンショック級の出来事は起こっていませんし、大震災も起こっていないのは事実であります。ですから、新しい判断をした以上、国民の声を聞かなければならないわけであります。……

安倍がサミットで世界の首脳に臆面もなく偽計データを示し、終了後の会見で「リーマン・ショックという言葉を7回も繰り返しつつ「G7で三本の矢の政策を進めていくとの認識を共有した」とまで強弁して失笑を買ったことについては、本誌No.839で論じたので繰り返さない。それにしてはこの6月1日会見で「リーマン・ショック級の出来事は起こっていないと2度も3度も繰り返したのはどういうことなのか。もはや安倍の思考が支離滅裂に陥っていることが明らかである。

それにしても、彼がここで「日本が議長国として……リーダーシップをとった国の責任」「この議論を主導した議長国日本としての責任」とか繰り返して、自分が世界のリーダーであるかに言挙げしているのは恥ずかしい限りである。

ご存じかどうか、15年の成長率の国際比較で言えば、日本は世界162位で、G7の中では最下位、アジアの中でもインド、中国、韓国などにも大きく遅れをとっている情けない国なのである。

順位         15年成長率()
111  米国     2.43
116  イギリス   2.25
139  ドイツ    1.45
143  カナダ    1.18
146  フランス   1.14
158  イタリア   0.76
162  日本     0.47

安倍は、口を開けば「中国経済の停滞」に迷惑していると言うけれども、このランキングで言えば、中国は16位で6.9%の成長維持しているのであって、向こうから言わせればほぼゼロ成長の日本からどうこう言われたくないよということだろう。G7の中でも、リーマン・ショック目前だとか騒ぐのであれば、まず自分の成長率をどうにかすればいいじゃないかと冷ややかに見られているに違いない。

安倍がお好きな前出「1人当たり国民総所得」の世界ランキングで見ても、日本は34位で、アジアではカタール、マカオ、シンガポール、クウェート、UAE、香港、ブルネイより下の中程度、G7の中では辛うじてイタリアにブービーメーカーを譲った程度の二流国に属する(14年、国連、米ドル)。

順位      15年1人当たりGNI
12  米国   55794
20  カナダ  49376
21  ドイツ  49065
25  イギリス 45614
28  フランス 43645
34  日本   37765
36  イタリア 35802

こうしたデータから見れば、日本はまずは粛々と自らが努力して世界のご迷惑にならないよう努めなければならない立場であるにもかかわらず、「俺がお前らに世界経済がリーマン・ショック目前の危機に瀕していることを教えてやる」とでも言うような偉そうな態度をとった。これはほとんど錯乱状態である。

image by: 首相官邸

 

高野孟のTHE JOURNAL』より一部抜粋
著者/高野孟(ジャーナリスト)
早稲田大学文学部卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。現在は半農半ジャーナリストとしてとして活動中。メルマガを読めば日本の置かれている立場が一目瞭然、今なすべきことが見えてくる。
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