ビル・ゲイツの本気。2500億円を投資する再生可能エネルギーとは?

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先日、ビル・ゲイツ氏が再生可能エネルギーに5年間で2,500億円もの金額を投資することが明らかになりました。ゲイツ氏が投資する価値ありと判断した再生可能エネルギーとはいったいどのようなものなのでしょうか。天才プログラマーとして知られる中島聡さんがメルマガ『週刊 Life is beautiful』の中でその内容を記しています。

ビル・ゲイツが投資する再生可能エネルギーってどんなもの?

Question

shitumon

いつもメルマガ楽しく読ませて頂いています。

ビル・ゲイツ、2,500億円を再生可能エネルギーにつぎ込む 

ゲイツ氏が、革新的な再生可能エネルギー技術を生み出すために、今後5年間で最大20億ドル(約2450億円)を投資するとのことです。

記事には具体的にどのような再生可能エネルギー、技術に投資するのか情報がありませんでした。

中島さんがもしご存知ならゲイツ氏がのような再生可能エネルギー、技術に投資するのか教えてください。

過去にゲイツ氏は太陽光などの再生可能エネルギーは世界のエネルギー問題の解決策にはならないという意見を述べていて、現実的かつ合理的なゲイツ氏の今回の投資内容に関して、非常に注目しております。宜しくお願いします。

中島聡さんの回答

ハフィントンポストの記事が参照しているファイナンシャルタイムズの記事は「Gates to double investment in renewable energy projects」だと思います。この記事によると、今回の話はすでに投資をしている電池や原子力発電のベンチャー企業(TerraPowers のこと)も含めた複数の会社にまたがった話なのだと思います。

ビル・ゲイツが言う所の「Green Energy」(Renewable Energy と100%同義語ではありません)は、「化石燃料に頼らず、二酸化炭素を排出しないエネルギー」のことで、その中には原子力も含まれている点が私とは若干意見が異なります。

ビル・ゲイツが資金を提供している TerraPowers はシアトルの会社で、通常の原子炉ではゴミでしかない劣化ウランをゆっくりと燃やすことにより、長期的に安定した電力を供給できるTWR (Traveling Wave Reactor)や、溶けた塩を冷却材にした MSR (Molten Salt Reactor)などの研究開発をしています。

TerraPowers が最初に(とは言っても2020年代に)実用化できるだろうと予測している TWRは、既存の原子炉と比べると、暴走の危険がない、資源として豊富にある劣化ウランを使う、一度燃料を設置すると長期間燃料の交換が不要(作業員の被曝を大幅に軽減できる)などの利点がありますが、最終的には核の廃棄物は出るので、(私も含め)100%クリーンとは言えないと指摘する人もいます。

ということで、今回の話は特に新しい投資の話でも、(原子力を含まない狭義の)再生可能エネルギーへの投資の話ではなく、(原子力を含んだ広義の)グリーンエネルギーへの追加投資の話だと私は解釈しています。

image by: Wikipedia

 

nakajima 週刊 Life is beautiful
著者:中島聡
マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。IT業界から日本の原発問題まで、感情論を排した冷静な筆致で綴られるメルマガは必読。
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