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交通費をちょろまかしただけでクビ。勝訴したのは社員か会社か?

会社への通勤手当、正しく請求していますか? 実は一駅歩いていたり、自転車通勤を始めたのにそのまま貰い続けていたりというケース、結構見受けられますよね。無料メルマガ『「黒い会社を白くする!」ゼッピン労務管理』では、「通勤手当の不正受給で懲戒解雇」を言い渡された社員が起こした裁判を取り上げ、通勤手当に対する全社的な意識改革を呼びかけています。

通勤手当の不正受給は懲戒解雇の理由になるのか

実は、以前に通勤手当の不正受給をしかけたことがあります。それは、私が高校生のときでした。当時始めたアルバイト先に初めて出勤したときのことです。

最初の入社説明や書類記入の際にそのお店のマネージャーから交通費のことを聞かれたのです。

「小林君、交通費はいくら?」
「自転車で通いますので交通費はかかりません」
「駅前からお店近くまで、バスが出てるでしょ。その金額を書いてもらえばいいよ。みんなそうしているし」

その当時は深く考えもせず「そういうものか」と、バス代を記入して、書類を提出しました。ところが、その後にそういった行為は禁止になり、私が初給与をもらうときには交通費が支払われることはありませんでした(おそらく、禁止になったというよりも、そもそも認められていなかったものをみんなでやっていた、ということだったと思いますが)。

会社に対して、「1円でも不正に請求したら犯罪であることは誰もがわかりきっていることです。ただ、この通勤手当というのは罪の意識を持っていない社員が結構多くいたりします。例えば、

などは、実際に「よく」行われていたりします。では、その通勤手当の不正受給に対して会社はどのような懲戒処分を行うことができるのでしょうか?

それについて裁判があります。ある食料品製造会社で通勤手当を不正受給していたとして社員が懲戒解雇されました。そこで、その社員が「納得がいかない!」として裁判を起こしたのです。

では、この裁判はどうなったでしょうか?

会社が勝ちました。その懲戒解雇は有効であるとされたのです。その理由として、

があげられています。これは、別の裁判でも「即時解雇が有効である」と認められています。ただ、これはもちろん「通勤手当を不正受給した社員は懲戒解雇にしましょう」とおススメしているわけではもちろんありません。裁判例では

などの理由から懲戒解雇が認められているわけで、すべてにおいて認められるわけではないのです。

みなさんにお伝えしたいことは、「通勤手当の不正受給」に対する社員の意識が低いのであればそこを変えましょうということです。最初は少額でも年数を重ねていけば、その額はどんどん大きくなります。罪の意識がないまま時が過ぎ気づいたら多額になっていた、では遅いのです。

さて、みなさんの会社ではいかがでしょうか。今一度、確認してみる必要があるかも知れませんね。

image by: Filipe Frazao / Shutterstock.com

 

「黒い会社を白くする!」ゼッピン労務管理
【経営者、人事担当者、労務担当者は必見!】
企業での人事担当10年、現在は社会保険労務士として活動する筆者が労務管理のコツをわかりやすくお伝えいたします。
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