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取締役が優秀な社員をゴッソリ引き抜き転職。これは「違法」か?

会社を辞める上司から「今度オレが転職する会社にお前も来いよ! 給料も今より上がるよ」なんて甘い誘いを受けたら、あなたならどうしますか? 会社にとって優秀な社員が引き抜きにあうことは大打撃です。無料メルマガ『「黒い会社を白くする!」ゼッピン労務管理』では、実際にあった大量引き抜きの裁判を例に上げ、この難しい問題について考えています。

社員の引き抜きに損害賠償は認められるのか

スポーツ選手の高額な移籍金がたまに話題になります。1人の選手に移籍金が100億円と言われてももはや次元が違いすぎてどれくらいすごいのかもよくわかりません。ただ、一つ言えるのはそれほどの金額を出しても元がとれると考えているからこそ、これほど高額になっているということです。

これは、優秀な社員についても同じことが言えます。他の社員とくらべて給料が高額であったとしても、「優秀であれば欲しいと考える経営者の人は多いのではないでしょうか。

ただ、問題になるのはこの優秀な社員が抜けてしまったときです。優秀な社員であればあるほどその抜けたあとを埋めるのは非常に難しいものです。

では、もしその抜けた理由が元社員の引き抜き」であったらどうでしょうか。おそらく感情的にも穏やかではないでしょう。そこで、みなさんの会社でもそうなることを防止するため「退職時に他の社員を引き抜くことは禁止」としているところは多いのではないでしょうか。

では、実際に「社員の引き抜き」を行ったらその損害は請求できるのでしょうか? それについて裁判があります。ある英会話教室を経営する会社(ここでは「A社」とします)でその取締役が、部下を引き抜き英語の教材を販売する会社(ここでは「B社」とします)に転職をしました。そこで、A社が「引き抜きは違法」としてその取締役とB社を訴えたのです。

では、その裁判はどうなったか?

A社が勝ちました。その取締役らが行ったのは「違法な引き抜き行為である」と認められたのです。ただ、これは単純に「『引き抜き=違法』と認められた」というのとは、ちょっと違います。

その状況をもう少し詳しくお話しします。

これを、みなさんはどう感じるでしょうか? もはや、普通の引き抜きというレベルではないですよね。

このように、引き抜きが違法と認められるには実は結構ハードルが高いのです。なぜならば、社員には「職業選択転職の自由」があるからです。たとえ、会社から見たら引き抜き行為であっても、引き抜きを受けた社員が自分の意志で「転職したい」と考えてしたのであればそれは違法とは言えない可能性が高いでしょう。

実際の裁判でも、引き抜きを受けた社員が

などで、転職した場合はその引き抜きを違法とは認められませんでした。つまり、「退職時に引き抜きは禁止」と、どんなに厳しく話してもそれだけで引き抜きを防ぐのは非常に難しいということです。

さて、みなさんの会社はいかがでしょうか。社員の不満を解消していますか?社員の満足いく環境を提供していますか?

image by: Shutterstock

 

「黒い会社を白くする!」ゼッピン労務管理
【経営者、人事担当者、労務担当者は必見!】
企業での人事担当10年、現在は社会保険労務士として活動する筆者が労務管理のコツをわかりやすくお伝えいたします。
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