打倒スシロー。回転寿司「すし銚子丸」がジワジワ売上を伸ばすワケ

 

劇団員が劇場でおもてなしを行っている

銚子丸はただ「おいしい」だけを提供していません。おいしい寿司を提供する店は他にもたくさんあります。銚子丸は競合にはない差別化された価値を顧客に提供しています。それは「おもてなし」です。銚子丸では、店舗は劇場で従業員は劇団員」と考えています。従業員が劇団員として、快適で活気ある空間づくりに努めています。

「劇場」を示すものとして、「まぐろ解体ショー」(不定期開催)があります。店舗で顧客の眼の前で「まぐろ」をまるごと一本、職人が包丁でさばいて解体します。解体されたまぐろをその場で注文することができます。

試しに「赤身」「中トロ」「大トロ」「ほほ肉」「頭肉」「カマトロ」を注文してみましたが、どれも新鮮で美味しかったです。しかも値段はリーズナブルです。ただ「おいしい」だけでなく、解体ショーを観る楽しさも加わります。まさに「劇場」といえるでしょう。

従業員の接客サービスのレベルが高いのも特徴的です。顧客に楽しんでもらおうという気持ちからか、解体ショーを一緒に盛り上げていました。解体ショー以外の時間の接客サービスの質も高かったのが印象的です。笑顔で元気良くテキパキと対応していました。ホールスタッフだけでなく、寿司職人の方の接客サービスも高いレベルにありました。全従業員がまさに「劇団員」と言うことができます。

寿司は3割、接客サービスが7割

銚子丸の「おもてなし」の源泉は従業員にあります。銚子丸は「寿司は3割接客サービスが7割」を標榜し、精一杯のおもてなしの接客サービスを重視しています。これは、ホールスタッフだけでなく、寿司職人にも求められることです。

銚子丸では、接客サービスの大切さを軽視する寿司職人は、たとえ握りの技術が高くても採用されません。寿司職人にも「寿司は3割、接客サービスが7割」を求めているのです。

銚子丸は産地直送にこだわっているため、出店できるエリアは限られます。また、接客サービス力が高い人材の採用にこだわっているため、従業員の人数を短期間で大量に確保することは困難です。そのため、急激な出店拡大戦略をとることができません。急成長は難しいといえるでしょう。

しかし、銚子丸のこだわりは着実に「ファン」を増やすことにつながります。緩やかながらも、一歩一歩前進していく企業です。長期的には大きく成長していくのではないでしょうか。今後の成長が楽しみの企業といえそうです。

image by: すし銚子丸公式HP

 

店舗経営者の繁盛店講座|小売業・飲食店・サービス業
著者/佐藤昌司
東京MXテレビ『バラいろダンディ』に出演、東洋経済オンライン『マクドナルドができていない「基本中の基本」』を寄稿、テレビ東京『たけしのニッポンのミカタ!スペシャル「並ぶ場所にはワケがある!行列からニッポンが見えるSP」』を監修した、店舗経営コンサルタント・佐藤昌司が発行するメルマガです。店舗経営や商売、ビジネスなどに役立つ情報を配信しています。
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