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だから貴方の企画は通らない。形容詞オンパレードの企画書がダメな訳

企画を提案するときに、つい使ってしまうがちな形容詞。しかし、無料メルマガ『ビジネス発想源』の著者でマーケティング戦略の指導者として知られる弘中勝さんは、「形容詞を使った企画書はアウト」とし、その理由を詳しく記しています。

形容グセ

企画力に乏しい人の特徴はいくつかありますが、典型的なものを一つ上げましょう。「形容グセが激しい、ということです。企画職を採用する面接をおこなった時に、企画力の面で不採用になる人のほとんどが、まずこの「形容グセ」が目につくのです。

「形容グセ」とは何かというと、企画の提案の表現の中に、無用な形容詞や形容動詞が多いということです。例えば、旅のエッセイの企画を作ってきてください、という課題があったとします。そうすると、「形容グセ」の激しい人の企画書には、このような言葉がやたら踊っています。

「旅の様子を、軽快なテンポで伝える」
「今までになかった、珍しいタイプの構成」
「柔らかいスタイルで、イケイケな連載」
「自由でズバッとはっきり表現する」
「やさしい表現で、ほんわかとした心にさせる」
「元気な感じの写真で、ふわっとした様子を伝える」
「丁寧に描き、複雑な表現をまろやかに」
「芸術的な絵ながら、娯楽的な感じで伝える」
「読者が通勤中に、クスッと笑える面白さ」

こんな、形容詞や形容動詞のオンパレードなのです。どうして形容詞や形容動詞のオンパレードが企画職にとってはよくないかというと、それは当然です。企画職というものは、その形容詞や形容動詞の表す要素を形にしなければならない仕事だからです。

「これは面白い企画です」と言うのではなくて、「こういう企画です」「それは面白いですね」と相手に言わせなければならない。

「これはほんわかした話です」と言うのではなくて、「こういう話です」「それはほんわかする話ですね」と相手に言わせなければならない。

「これは今までになかった発想です」と言うのではなくて、「これはこういう発想です」「それは今までにないですね」と相手に言わせなければならない。

企画そのものでその要素を感じてもらうのが仕事なのに、何を自分から「面白い」とか「クスッと笑える」とか言っちゃってんの? ということです。つまり、自分から形容詞や形容動詞を多用するということは、それを企画の形で表す力がないから「これは面白いんですよ」と言葉を足しているだけなのです。

これは、例えばシェフが料理を持ってきて、「この料理は、とても美味しそうに仕上げました」「これは、今まで見たことがない感覚です」などと自分で説明しているようなものです。見た目や味でそれを伝えなければならない人が、なんで最初に言葉で説明しようとしてるの? ということです。

「このように仕上げました」「わー、美味しそう!」
「これとこれを掛け合わせました」「今まで見たことがない!」

と相手に言わせるべきことを、自分から言ってしまっては、全く意味がないのです。

だから、企画力を上げたいと思ったら、とにかくこの「形容グセ」を引っ込めることです。「これは面白い企画なんだ」と思ったら、その「面白い」という形容詞を使わずに、「面白いじゃないか」と思わせる企画にしなければなりません。

「これはほっこりとした企画なんだ」と思ったら、「ほっこり」という表現を使わずに、相手をほっこりした気分にさせなければなりません。

その形容詞を直接言葉で説明したらアウト、という意識を持つのです。

例えば「短くズバッと軽快に届ける」などと言わなくても、「毎回、五七五の川柳で伝える」という企画なら、「えー、そんな短くズバッと軽快にできるの?」ということは言わなくても伝わります。

「女子が明るく楽しく面白く語る」などと言わなくても、「女子3人がアフターファイブの居酒屋で恋愛を嘲り合う」というようなら「えー、明るくて楽しくて面白そう」ということは言わなくてもイメージできます。

形容詞や形容動詞を使わなくても、その企画のあり方でその形容詞や形容動詞をイメージさせることができるのです。それが企画なのであって、自分から形容詞や形容動詞で修飾するのは、「ダメな企画を言葉で補完している」に過ぎないのです。これを面倒がる人は、企画職には向いていません。

あなたの企画書や提案書は、どれだけ形容詞や形容動詞に頼ってしまっていますか?

【今日の発想源実践】(実践期限:1日間)————-

image by: shutterstock

 

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