まぐまぐ:日本のそういうおかしな状態というのは、そもそもどうして生まれたんでしょうか。
ケント:それはアメリカが、GHQがそうさせたんですよ。アメリカが書いた憲法ですから。どっちかっていうと、マッカーサーの独断であの第9条が入ったわけですよ。ただ、アメリカ側の人たちは誰も恐らく、占領軍が引き上げてからもあの憲法を何十年も続けるとは、夢にも思ってなかったと思いますね。だってあり得ない話だからね。
小林:もう依存心が完全に出来上がってしまって……。
ケント:その一つの理由としては、第二次世界大戦の後に冷戦がすぐ始まっちゃったというのがあって。そこでアメリカ側としては、とにかく日本という国を抑えておかないといけないんで、自分たちでやるしかないね……ということだったんだと、たぶん思うんですよね。地政学的に考えて日本っていうのは、アメリカにとっての緩衝地帯なんですよ、中国との間のね。
小林:そうですね。
ケント:アメリカにとって日本が必要だったものですから、取りあえず占領軍は帰ったけれども安保条約で抑え続けるっていう形を取ったんだと思います。でも、だんだんと「これおかしいわ」っていうのがアメリカ側にも出てきたと思うんですよね。いつまでもアメリカが守ってやんないといけないのかって。トランプなんか、もろにそれを言ってしまっている。でも彼は、日本に基地があるのはアジア全体の安定を図るためということが、分ってないんですよね。勝手にアメリカが片務的な義務で守ってやってるだけの話だと、彼は思ってるようで、こんな勉強不足ってあるかいなっていう感じでね。
小林:自国の利益っていうものに実は合致しているってことが、トランプはまだ分かってないと。
ケント:分かってないですよね。
小林:ただ損だけをしてるというふうに思ってるわけ。
ケント:だから彼は、割合・費用のことを言うわけですよ。で、「日本が全額払え」って言うわけでしょ。でも予算の割合をみてみると、日本の国土そのものを守るのにかかる費用に見合う金額を、日本は出しているんじゃないかなと思うんですけどね。まぁ、値段を付けるような話じゃないですけどね、『世界まるごとHOWマッチ』じゃないんだからさ(笑)。でも、大体そんな割合じゃないのかなって気がしますね。ですから、もし日本の憲法が改正されたら基地はなくなるのかっていうと、整理はされるでしょうけど無くなりはしないでしょうね。米軍基地は自衛隊の基地になって、そこにアメリカが来て、アジア全体のことを見るためにまだ居座るっていうか、居させていただくっていうか。
小林:だから、それだといいわけですよ。
ケント:それだったらいいんですよね。