ラーメンの次はお好み焼きブーム? 海外で店舗増加中「DIYが好き」

2016.07.11
by gyouza(まぐまぐ編集部)
okonomiyaki copy
 

訪日経験者が増え、日本がより身近な場所になったこともあって、外国人がすしや天ぷら、ラーメン以外の日本食にも挑戦する機会が増えているようだ。そんな中、いくつかの海外メディアのグルメ欄や旅行欄でお勧めされていたのがお好み焼きである。独特のソースの味などが病みつきになるという感想がある一方、見た目がどうも……という意見もあるようだ。お好み焼きはラーメンに続いて、日本食のヒットになれるか。

知名度はまだ高くない

米国際公共放送(PRI)によると、お好み焼きは(英語では)「ジャパニーズ・パンケーキ」とも呼ばれる。けれどもPRI記者はそう言ったそばから、あなたが食べたことのあるどのパンケーキにも似ていない、と付言している。英メディアのガーディアン紙、テレグラフ紙は、自国の甘くない、塩味のある「セイボリーパンケーキ」を引き合いに出して説明している。

「Okonomiyaki」の知名度はまだ高くないようで、レストラン予約サイト「オープンテーブル」が米世論調査会社ハリスポールに委託して実施したネット上のアンケート調査では、レストランのメニューに出てくる名前でわからないものの堂々1位に輝いていた。69%がわからないと答えたが、逆に言えば31%はわかっていた(ちなみに2位はコチュジャン、67%)。

オープンテーブルのチーフ・ダイニング・オフィサー(最高食事責任者、CDO)のキャロライン・ポッター氏は、むしろ、この数年間でお好み焼きを出す店がアメリカで増えたことのほうに注目している。お好み焼きのさまざまな情報を英語で発信しているサイト「Okonomiyaki World」は、全米でお好み焼きが食べられる店125軒をリストアップしている。テレグラフ紙は、今、イギリスのあちこちでお好み焼きを出す店がひょっこり現れていると伝えている。

フィリピンでは、日本のお好み焼きチェーンの「道とん堀」が昨年11月、「千房」が今年6月に進出している。フィリピンの英字紙インクワイアラーのある記者は、日本食に関しては、自分はすし、ラーメン、天ぷらのメジャーどころしか知らないが、これまで見逃しているものは何もないと思っていた、と語る。しかし、「千房」に入ったときに全てが変わった、と言い、お好み焼きはいささか舌をかむような料理名だが、一度覚えると全く食欲をそそる名前になる、と語っている。

お好みで焼いて楽しいお好み焼きエクスペリエンス

自国で食べられる人も、そうでない人も、やはりぜひ一度は日本に来て食べてもらいたいものだ。ガーディアン紙は、日本を訪れるグルメが知っておく必要のある言葉は1つしかない、お好み焼きだ、とまで言っている。

豪ニュースサイトNews.com.auは「日本を訪れる前に知っておきたい12のこと」と題した記事で、あなたの味蕾(みらい)を興奮状態にさせるものは、すし、刺身以外にももっとたくさんある、と語り、その中で記者のお気に入りの1つとしてお好み焼きを挙げた。

ガーディアン紙の記者は尾道に滞在した経験があるようで、「尾道焼き」を好んで食べていたようだが、ある時、関西風のお好み焼きを(お好みに焼くというその名前のとおりに)自分で焼いて食べた際に、それは私の心をつかんだ、と語っている。

こういう経験を楽しいと感じた旅行者は他にもいるようで、ガーディアン紙ウェブサイトのコメント欄でも、

「私は京都ですばらしいお好み焼きを食べた。テーブル兼ホットプレート(鉄板)で自分で焼いた。おいしかった。料理人は、お好み焼きを台無しにしないよう注意深く見守ってくれた。私は多くの日本食の、DIYの側面がかなり好きだ」

「日本に行ったときに最初に食べたものの1つだった。すばらしい体験で、スタッフはきちんと作る方法を非常に親切に教えてくれた」

と、味覚だけではない「お好み焼き」体験が語られていた。

お好み焼きはこってりしすぎという感想も

当然ながら、食べてみてピンとこなかった人もいるようで、ガーディアン紙にコメントを寄せた読者の中でも、

「日本に4ヶ月いた間に食べた中で、最もこってりした食べ物だった!」

「とても大きく、腹にたまるものだったので、食べきることができなかった。正直言って、お好み焼きは少々過大評価されていると思う」

「同意せざるを得ない。日本で食べられる全てのすばらしい食べ物の中で、お好み焼きはリストのずっと下のほうだ――マヨネーズを厚塗りされた、こってりした食べ物の大きな山だ。もし関西風の食べ物を試したいなら、たこ焼きのほうがずっと良い」

などの意見があった。これらのコメントはお好み焼きの「こってり」具合に集中しているが、インクワイアラー紙でも、批判的な文脈ではないが、「ふわふわしているがおなかの膨らむもの」という表現をしている。

「『千房』での夕食を考えているなら、友人と一緒か、食欲旺盛なときに行ったほうがいい。1皿で少なくとも2~3人向けである。私たちを信用してほしい、そしてお好み焼きが、ほんの数口でどれだけおなか一杯にさせられるものかを見くびらないように」と同紙記者(名前からしておそらく女性)は語っている。腹にたまるという感想が多いのは、「粉もん」やマヨネーズへの慣れの問題だろうか。

あんなにおいしそうなのに……見た目が駄目?

また、多くの日本人の食欲をそそるだろうお好み焼きの見た目に、ハードルを感じる人もいるようだ。PRI記者は、14年前に初めて食べたときの経験を振り返って、「奇妙な名前、奇妙な味で、奇妙な見た目だった。私には合わなかった」と語っている。またPRIは、ボストン大学の日本文化の専門家のメリー・ホワイト教授も、自分と同様の経験をしたとして、「初めて食べたときは、好きになれなかった」「やけにどろりとした料理で、見た目が良くなかった」とのコメントを伝えている。PRIは、言うまでもなく、お好み焼きは欧米人にはお勧めしにくいものの可能性がある、と語っている。

ただし、このPRI記者も、ホワイト教授も、後にはお好み焼きの大ファンになったそうなので、お好み焼きのおいしさはいわゆる「学習する味」であるのかもしれない。

(田所秀徳)

 

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記事提供:ニュースフィア

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