傷だらけのユニクロ、客離れの理由は「値上げ」だけなのか?

 

販管費の上昇が経営を圧迫している

このことは数値にも如実に表れています。国内ユニクロ事業の16年8月期上期の人件費は441億円で、前年同期から31億円も増加しています。16年3~5月期の人件費は売上高の比率において、前年同期比で-0.1ポイントの改善に過ぎません。

国内ユニクロ事業では、人件費の上昇などによる売上販管費率の上昇が問題となっています。そのため、週末の限定販売を抑え、EDLP(年間を通じて同じ低価格で販売する価格戦略)への移行を模索し、人件費や広告宣伝費を抑えようとしています。

また、東京・有明に専用倉庫としては国内最大となる多機能物流拠点を開設しました。店舗への配送頻度を増やすことで店舗での欠品を抑制し、バックルーム在庫の減少による店舗オペレーションの効率化を目指します。

ファーストリテイリングのグループ上席執行役員CFOは決算説明会で、有明の物流センターについて「首都圏向けの店舗配送は開始している」と述べています。EC向け配送については「基本翌日配送を前提とし、秋冬商戦から本格稼働させる。地域によっては当日配送も行っていく」と答えています。

売上販管費率の上昇により営業利益率が低下した側面があります。ユニクロは値上げにより離れた客足を取り戻し、売上高を向上させることはもちろん、販管費等のコスト削減を進めていく必要があります。今回の決算ではそのことが明確に示されたといえます。そして、値上げにより傷ついた信頼を回復させることが急務となりそうです。

image by: Settawat Udom / Shutterstock.com

 

店舗経営者の繁盛店講座|小売業・飲食店・サービス業
著者/佐藤昌司
東京MXテレビ『バラいろダンディ』に出演、東洋経済オンライン『マクドナルドができていない「基本中の基本」』を寄稿、テレビ東京『たけしのニッポンのミカタ!スペシャル「並ぶ場所にはワケがある!行列からニッポンが見えるSP」』を監修した、店舗経営コンサルタント・佐藤昌司が発行するメルマガです。店舗経営や商売、ビジネスなどに役立つ情報を配信しています。
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