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「お金」のない中古マンションは買うな。これさえ守れば失敗しない

中古とはいえ、マンション購入といえば人生の一番大きな買い物と言っても過言ではありません。だからこそ、なるべく多くの項目をチェック、比較検討してみたいと思うのも当然なのですが…。無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』の著者・廣田信子さんは、中古マンション購入の際に「ここだけチェックすればOK」という一番大事なポイントを記してくださっています。

お金がない中古マンションは買わない

こんにちは! 廣田信子です。

先日、知人から、中古マンションを購入するときに何に気をつければいい? とFacebookで質問が…。あまりに漠然とした質問で、気をつけてほしいことがあり過ぎてまだ、ちゃんと答えられていません(笑)。

マンションを購入するときの注意点を書いた本はたくさん出版されていますね。私も何冊か持っていますが、新しく出版された本もあるので、本屋さんでチェックしてみました(笑)。一番、いい本を推薦してあげようと思ったのですが、実はどれもピンときませんでした

一般論としては、どれもそんなに違いはないのですが、そのすべて条件をクリアする物件なんて、実際にはないでしょうし、高く転売できそうという価値と、その人にとって住み心地がいいという価値は別だと、改めて思いました。

マンションは管理を買え」は言い古された言葉ですが、では、何をして管理がいいというのかというと難しいです。

私は、いろいろなチェック項目を出して、それを○×的にチェクして点数化して、不動産物件としての良し悪しを判断するということには、あまり賛成できません。そのチェック項目のうち、何が一番重要かというような個別性がある優先順位が加味されなければ意味がないからです。マンションを購入するというのは、ものすごく個別性が高いことなのです。

さらに、正確にチェックするだけの情報を、購入を検討する段階で入手するのは難しく、買う気になって、契約直前の重要事項説明でわかっても、もう買う気になっていたら、その1つの項目に引っかかっただけで、購入をやめるというのは難しいからです。

今回、標準管理規約改正でも、標準管理委託契約書改正でも売買時に管理情報の開示が行われるように誘導されていますが、これも、その情報があったとしても判断が難しいですよね。

例えば、役員の任期が1年か2年半数交代か、選出方法が輪番制か立候補正か…という情報がわかって、それをどう評価するんでしょうね。一般に1年任期より2年任期半数交代制の方が継続性が保てていいと言いますが、ということは、自分も区分所有者になったら2年つづけて役員をするということですよ~と言ったら、ちょっとそれは困るという方も(笑)。

輪番制より立候補制の方が管理組合運営に熱心な人が多い…ともいえません。一部の人が理事を独占して、他の人が無関心で、かなり問題がある状況かもしれません。そんなことは、管理組合の中に入るまでわからないことです。

もっと客観的に評価できてここだけチェックすれば、管理がいいと判断できるという項目がないか、ずっと考えていました。で、結局、たどり着いたところが「お金」でした。なんかがっかりされそうですが(笑)。

「お金」があることは大事、これは、セミナーなどで私がいつも管理組合に対して話していることと同じです。まず、月々の修繕積立金の額です。今後30年の修繕計画を満たせる額になっているか、もし50年先まで見越していたら、それは、間違いなく高ポイントです。

もう一つの視点はストックです。修繕積立金会計にいくらお金があるかです。余裕のある資金をもっていれば、それはかなり点数が高いです。

え~、お金の他にも大事なことがあるでしょう…と思われるかもしれませんが、これで、大抵のことはわかります。

将来を見越した修繕積立金の設定になっているマンションは、内部にしっかり維持管理していこうと思う人がいて、それを総会できちんと決議できた合意形成力を持っているという現われです。無関心の人や、今だけよければいいという人が多いマンションでは、できないことです。

そして、そういうマンションを新たに購入するのは、目先の管理費等の安さでなく、むしろ、将来の安心を大切に考える人ということになります。住宅以外の利用で利益を上げようというような人は利回りが悪いので避けて行ってくれます。

そして、修繕積立金会計の資金に余裕があるということは、思わぬ災害に見舞われても、生活環境アップのための改修工事の必要が生じても、合意形成もしやすく、迷わず、復旧、改修に取り組めます。お金があるということは、未来の保険にも、未来の価値の向上にもつながるのです。

逆に、高経年マンションで、区分所有者が高齢化していて、修繕積立金の値上げの合意形成ができなければお金がないため改修も進まず、居住価値の維持がむずかしくなります。そうすると、売買や賃貸で、おかしな使用目的の人が入り込んでくる可能性も高くなります

ただし、現在の修繕積立金の額が高いものの中には、長年修繕積立金の値上げができず、切羽詰まった修繕工事のために大幅値上げになったケースもありますから、必ず、フローとストック両方を見てくださいね。

築年数が浅いうちに、将来の修繕計画を見直し、必要な修繕積立金の額に改定できているマンションは、それだけで、間違いないと私は評価します。

image by: Shutterstock

 

まんしょんオタクのマンションこぼれ話
マンションのことなら誰よりもよく知る廣田信子がマンション住まいの方、これからマンションに住みたいと思っている方、マンションに関わるお仕事をされている方など、マンションに関わるすべての人へ、マンションを取り巻く様々なストーリーをお届けします。
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