自業自得。海外志向の若者を「蔑ろ」にした派遣会社の成れの果て

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建設技術者→軍事戦争→バグパイプ奏者と様々な職業を経験してきたカトケンこと加藤健二郎さん。自身のメルマガ『異種会議:戦争からバグパイプ~ギャルまで』の中でカトケンさんは、「海外に行きたがる日本人技術者」について持論を展開しています。「英語が話せて、技術力があって、海外志向の人材が少ない」と嘆いている人材派遣会社の社長さんの発言を紹介し、カトケンさん自身が若い頃、多くの企業が海外志向を持つ人たちを「ないがしろ」にしてきたことがそもそもの原因だ、と断言しています。

海外志向軽視

基本的な英語ができて、電気工事の基礎知識がある人を探してるのだが、海外志向の日本人が少ないものだから見つからない、という話をエンジニア派遣会社の経営者さんがしていた。

カトケンが若いころだったら、すぐに応募したい業界だが、カトケン世代に対しては、エンジニア業界は「ああ、海外希望ね。みんな、海外海外って言うんですよ」と、海外志向の若者を本気で相手にしていなかった

当時のある管理職によると「海外海外と言ってるヤツは海外へは行かせない」と言っていたほどだ。この管理職さんに言わせると、これはイジメではなく、「海外海外」と言ってる新人は、海外の憧れの部分ばかり見ていて、海外の厳しさの現実に折れてしまうからだ、とのこと。いずれにしても、カトケンは、海外派遣や出張の社命を受けることはできなかった負け組なので、退社して自分の金で飛び出すことになる。つまり、この時点で、すでに負け組スタート。

そんな負け組スタートのカトケンの目からすると、経営者や管理職たちの「海外志向の人が少ない」は、自分たちの撒いたタネとしか見えない。「海外海外」と行きたがってた若者を育てたり獲得したりせず、そういう人が多いときには見向きもしなかったわけで、需要が増えて不足してきたら「足りない足りない」と、それって経営者かい? 管理職かい? な感じ。子供の目の前の食べ物に対する無邪気な行動そのものじゃん。

といえ、現実的には、外国に居住して仕事をしている日本人は、それぞれの主要都市に数万人以上いるところは、いくらでもあり、カトケンが「海外海外」と騒いで相手にされなかったバブル期なんかより10倍くらいは多いのではないだろうか。

これに対して派遣会社さんは「海外志向の強い日本人もいるにはいます。だけど、海外志向の人たちは技術力が低いんですよ」「そういう見方かよ。そりゃカトケンだって、海外海外って言ってた、入社1~3年目のころは技術力なんか低かったわけだし、そこで高い技術力を求めるのは甘いのでは?」「いや、バックパッカー的精神の人が多いというか、仕事向きの人ではないんですよ」とのこと。

派遣会社さんの言いたいことはわかる。でも、その見方では、人は育たないだろなぁ、と感じたのでした。カトケンも海外行きからハズされて相手にされなかったがゆえ、仕事向き人間ではなくなってしまった面もある。ただ世間は、カトケンはもともと仕事向き人間ではなかったから、ハズされてたと見るかもしれない。で「もともと仕事向きではなかったから~~」のほうが、業界にとって都合がいいのかな。

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