自業自得。海外志向の若者を「蔑ろ」にした派遣会社の成れの果て

 

さらに、派遣会社さんは言う。「海外志向もあり、英語もある程度できて、技術力もあるという日本人がいないわけではない。そういう人は、それなりにたくさんいます。だけど、それだけ能力の揃ってる人は、大手の上場企業に取られてしまうので、現実のすぐ現場でそういう人がほしい我々のところにはまわってこない」と。まあ、それを言われると、カトケンも大卒のとき、上場企業しか見てなかったしなぁぁ・・。

で、今の目の前の案件は? 静岡なんですよ。外国でなく静岡?

静岡の山奥の水力発電施設の建設なんですけど、水力発電の技術者には日本人がもうほとんどいないので、インドネシア人を中心とした外国人チームなんです。そこの技術管理をしてくれる日本人が欲しいんですが、英語ができて技術力があって、1人でも仕事をこなせて…」と。

なるほど、カトケンも東亜建設工業の社員時代に1人現場や、突然出張現場は行ったことあるのでわかる。これは、派遣会社さんが言ってるような安易な仕事ではない。冒頭の「基本的な英語ができで、電気工事の基礎知識がある人」などという簡単なイメージでは見つからない。

しかも、海外志向があっても、静岡の山奥では、海外志向さんの喜ぶ環境ではない。つまり、労多くして魅力の薄い仕事なのだから、大手優良企業並みの報酬を出さなければ人は集まらない。

派遣会社として、自社の利益を圧迫させれば、静岡へ行かせるエンジニアの給料を大手並みにはできるであろう。しかし、大手並みの福利厚生やブランド力、将来への安定性などは「ない」と見られる。ということは、この派遣仕事は、大手が直接、高待遇正社員を派遣するのがいいのかな。あっ、でも、それだと、派遣会社の経営者さんは困っちゃう? 

良い形で人材育成ができない理由は、いろいろあるよね。  

image by: Shutterstock.com

 

異種会議:戦争からバグパイプ~ギャルまで

著者/加藤健二郎
建設技術者→軍事戦争→バグパイプ奏者、と転身してきてる加藤健二郎の多種多様人脈から飛び出すトーク内容は、発想の転換や新案の役に立てるか。
<<無料サンプルはこちら>>

print
いま読まれてます

  • 自業自得。海外志向の若者を「蔑ろ」にした派遣会社の成れの果て
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け