NHK大河ドラマ『真田丸』を放送直後にワンポイント解説する人気連載シリーズ。今回は、戦国時代における「兵粮」の重要性について。「腹が減っては戦はできぬ」の言葉の通り、どんなに強い兵力をもつ軍隊でも、肝心の食料が無くなってしまってはひとたまりもありません。そのことを最も気にかけていたのが真田幸村でもありました。幸村は兵粮の重要性をどこで学び、肝に銘じたのでしょうか?
今回のワンポイント解説(10月23日)
江戸時代の初め頃に書かれた『雑兵物語』という史料に、こんな話が出てくる。足軽・雑兵に兵粮米を支給するとき、まとめて渡すとドブロクにして飲んでしまうので、陣中が兵粮不足に陥ってし まう。だから、面倒でも数日分ずつ小分けにして渡せ、というのだ。戦国時代の陣中では、実際にこんな事が珍しくなかったのだろう。
さて、大坂城に入った幸村が、まっ先に気にしたのは、兵粮の備蓄量だった。今回も冒頭のシーンで、兵粮の手当について大野治長と相談している。
思い起こしてみよう。小田原の役の時、石田三成は、城を落とすのに時間がかかると算段が狂ってしまう、といって苛立っていた。これはもちろん、兵粮の心配をしていたからだ。それから、第2次上田合戦。真田・徳川の両軍は、敵の兵粮を奪いながら味方の兵粮を確保するために、ゲリラ戦を展開していた。そうした中で昌幸は、「先に兵粮が尽きるのは人数の多い徳川方」だと、見抜いていた。
食べ物がなければ人は生きてゆけないから、兵粮がなければ軍隊は作戦できない。つまり、補給(兵站)の問題は、軍隊の作戦期間に直結するのだ。この、当たり前だけれど、具体的には意外にイメージしにくい原理を作劇に活かしながら、ドラマとしてきちんと描いた大河は、おそらく『真田丸』が初めてだろう。
さて、兵粮の手当について考えていた幸村が、御文庫で石田三成と大谷吉継を思い出すのは、そうした仕事が、かつては三成や吉継の担当だったから。というより幸村(信繁)は、かつてこの御文庫で、三成や吉継の仕事ぶりを見ながら、巨大な軍事政権を支える実務の何たるかを学んでいたのだ。大坂城に入って、まっ先に兵粮の備蓄量に思い至ったのも、そうした経験の賜物だったともいえる。
まあ、戦国時代の兵粮の話を具体的に知りたい方は、とりあえず拙著『戦国の軍隊』を読んでみて下さいね。(西股総生)
《今週のワンポイントイラスト》
やっと幸村が目立つと思ったのに、濃すぎる新大坂城の仲間たち。石田、大谷がいた頃が懐かしい…(みかめ)
文・絵/TEAM ナワバリング(西股総生・みかめゆきよみ)
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今週の『真田丸』SNS反応【編集部まとめ】
中学生娘「後藤又兵衛さあ、自分が総大将やりたいならやりたいって言えばいいのに。そない遠まわしにせんでも。誰かに推されるまでぐちゃぐちゃ難癖だけつけて、いるわー学級会でもプライド高くて回りくどい奴いるわー」#真田丸
— ぬえ (@yosinotennin) 2016年10月23日
#真田丸 それにしても描かれてはいなかったが、なんだかんだ言って10万の軍をまとめ上げ、その指導者として家康と戦えた石田三成という人物は偉大であったのだなーと。もはや、大阪には「10万の兵をまとめ上げる器」が真田幸村も含めて存在しなかかったということだろう。
— 地雷魚 (@Jiraygyo) 2016年10月23日
又兵衛「総大将にふさわしいは盛親殿じゃ」
盛親「(やめて!顔に似合わず戦は嫌いなんじゃ〜😭!)」(中略)
信繁「ご辞退仕りまする」
盛親「(いまだ!)では拙者もお引き受け致しかねる。(小声)…無理でござる」大坂五人衆が可愛すぎて今後も目が離せない(笑)#真田丸
— 小栗さくら@歴史タレント (@oguri_sakura) 2016年10月23日
#真田丸 百万分の1もありえぬが、もしこの決断力のない秀頼とまとめる力のない大野治長、まとまりのない浪人衆が徳川に勝ってしまったと思うと、おぞけが震える。あるのは戦国どころか『北斗の拳』の世界に戻った日本しかないだろう。それぐらい大阪勢の駄目さ加減がうまく描かれていた。
— 地雷魚 (@Jiraygyo) 2016年10月23日
いや違うwwwwwww #真田丸 pic.twitter.com/O53uMvb2Zy
— いためし (@itameshi_yutori) 2016年10月23日
この淀殿肖像に本当にそっくり #真田丸 pic.twitter.com/AcndgiYmgG
— まとめ管理人 (@1059kanri) 2016年10月23日
結局合議制にまとまったように見えるけど、信繁が主導権を握ったようにも見えるんですよね、あの会議。結局信繁の案が採用されて、その通りになったのだから。信繁にとっては、あれは先々の布石で、総大将になることは端から考えてなかったのかもしれない。 #真田丸
— 三日月@真田丸はいいぞ (@mika_haru_5121) 2016年10月23日
本田正信の半分寝ているような老い、疲れて休む内記の老い、記憶があやふやな家康、風より速く走れなくなった佐助、兄上の手の痺れ、信繁の顔のしわ。皆が歳を重ねていくなかで歳を取らせない茶々のファム・ファタール感。 #真田丸
— たけ (@takehi1009) 2016年10月23日
最近上杉主従出てきてないけど元気かしら…次はいつ出てくるのかなぁ #真田丸
— クリス@コロッケ熱がヤバい (@hoserann) 2016年10月23日
長曾我部成親殿を筆頭に、この五人衆、なんがすごいNHKの人形劇な感じする。 #真田丸
— Little Hermit (@little_hermit) 2016年10月23日
#真田丸 関ヶ原で節約した予算をここで投入します。 pic.twitter.com/XvTnxNlC8W
— TTB#次ゆうもあゲーム会大阪10/23 (@TTB1997) 2016年10月23日