フィリピン取り込みは、中国の戦略的勝利
ドゥテルテさんは、話がコロコロ変わります。しかし、このまま親中反米路線を続ければ、中国の「戦略勝利」になります。どういうことでしょうか?
中国から見ると、東から西に向かって、アメリカの味方に封じ込められている。地図を見ると、韓国、日本、台湾、フィリピンと繋がっています。最近は、ベトナムもアメリカ寄りになってきた。
南シナ海、東シナ海からアメリカを追い出し、アジアにおける中国の覇権を確立するためには、韓国、日本、台湾、フィリピンを、中国側に引き寄せることが必要なのです。今回、中国は、フィリピンを引き寄せることに成功した。
とはいえ、08年以降、世界中の国々が、「アメリカにつくのがお得かな? 中国につくのがお得かな?」と揺れています。日本も小鳩政権の時、アメリカを捨てて中国につこうとした。しかし、安倍さんになってから、アメリカに戻りました。
韓国も、朴さんは、明らかに親中反米だった。しかし、「中国は、北朝鮮から韓国を守る気がない」ことがわかりアメリカの方に戻った。台湾も、馬総統の時代(08年~16年5月)は、親中でした。しかし、蔡英文総統になって反中に揺れています。こう見ると、フィリピンもどうなるかわからないですね。
ドゥテルテさん、間もなく訪日されるそうです。日本は、中国の悪口を言ったり、説教したりせず、温かく迎えることに徹するべきなのでしょう。道徳的にも、人権面でも大いに問題のある人ですが、地政学的、戦略的に重要な国のトップなのですから。
『ロシア政治経済ジャーナル』
著者/北野幸伯
日本のエリートがこっそり読んでいる秘伝の無料メルマガ。驚愕の予測的中率に、問合わせが殺到中。わけのわからない世界情勢を、世界一わかりやすく解説しています。
<<登録はこちら>>