突然襲う片頭痛には、体内のバクテリアが関係していた?ー米最新研究

2016.10.27
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「頭が痛い」というのは、強烈に生活の質を下げる原因の1つです。特に片頭痛はやっかいなもので、戻したりなにも考えられなくなったりして、多くの人はこの痛みが過ぎ去るのを待つ以外に打つ手がないのが実情です。アメリカで片頭痛と食べ物の関係について、これまでより一歩踏み込んだ研究結果が米カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)の研究チームから発表されました。

片頭痛のカラクリにはバクテリアが関係してた?

QUARTZによると、一般的に、片頭痛は大人では男性より女性の患者が圧倒的に多く、また強烈な痛みは治まるまでに何時間もかかり、痛みを取り除く選択肢はあまり効果があるものはなく、普段から予防薬を飲む以外にこの頭痛から逃れる方法がないそうです。

片頭痛を引き起こす原因としてよく言われるのが、チョコレートワイン加工肉などの食べ物ですが、なぜこれらが原因となるのかについてはあまりよくわかっていませんでした。

しかし今回の米国の研究結果では、体内の「バクテリア(常在菌)」が関係していることがわかりました。

UCSDの研究チームによると、およそ2200人の口腔内と便を調べたところ片頭痛にひどく悩まされている人からは、引き金となる食物に含まれる硝酸塩が片頭痛を誘発する化学物質に変化させる微生物が高い割合で検出されたそうです。

私たちの体内には何兆個ものバクテリアが生きています。

私達の体が必要な栄養素と必要でないものを判別しているように、体内にいるバクテリアも同じことをしています。

このバクテリアの作り出した老廃物が人体に影響を与える場合があるということがわかったのです。

そのメカニズムとは?

ワイン、チョコレート、加工肉などの食物や緑色野菜には硝酸塩という物質が含まれています。

この化合物は3つの酸素原子に囲まれた1つの窒素原子からできています。

人間の口腔内のある種のバクテリアは、硝酸塩を自分自身の燃料にするために分解します。

その過程で、酸素原子を1つ硝酸塩から切り離すため、亜硝酸塩と呼ばれる副産物が生まれます。

亜硝酸塩が血液中に入ると、酸素原子が1つだけになった一酸化窒素(NO)に変化し、これが偏頭痛や緊張性頭痛の発生に関連しているそうなのです。

硝酸塩を多く含む食べ物と片頭痛との関連については、それらに含まれる物質が血管を拡張させたり収縮させたりすることで痛みが起こるということが言われています。

片頭痛を持つ人はこのような食べ物を避けることで頭痛にならないという今までの説を支持する研究結果となったわけです。

この調査には、「アメリカン・ガットプロジェクト」というクラウドファンディング(99ドルで一般市民からサンプルキットを集めて消化器官に棲む微生物を調べる大規模プロジェクト)で集まった微生物のDNAが使われました。

172の口腔サンプルと1996の便サンプルから、片頭痛を持つ人は硝酸塩を亜硝酸塩に変えるバクテリアが口の中にも便の中にも多い傾向があることがわかりました

今回の研究では、亜硝酸塩を生成するバクテリアと偏頭痛の関係が明らかになりましたが、バクテリアが原因であると断定するには至っていません。同大学のコンピュータ科学者で論文著者のAntonio González Peña氏は、今度は片頭痛の様々なタイプ(閃輝暗点など前兆があるものや、網膜偏頭痛といったもの)がバクテリアの種類と関連があるのかについて注目しています。

「心臓に危険が及ばないで片頭痛をなくすことが最終目標です。偏頭痛を起こさない、循環器の健康保持に効果がある画期的なプロバイオティクスの口腔洗浄液ができるでしょう」とPeña氏は話します。

アメリカでは3800万人の人が、日本では人口の5〜10%の人(日本頭痛学会)が片頭痛に悩まされていると言われています。

頭痛持ちの人が辛い痛みから解放される「魔法のマウスウオッシュ」の登場も今後ありえるかもしれませんね!

 

Image by: Shutterstock

Source by: Quartz Wikipedia 日本頭痛学会 アメリカンガットプロジェクト 

文/桜井彩香

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