暴言も狙い通り?ドゥテルテ大統領の現地評価を在住邦人が報告

 

海外在住の日本人がリレー形式でコラムを配信する無料メルマガ『出たっきり邦人【アジア編】』。今回は、日本でも「お騒がせ大統領」としてすっかりお馴染となったフィリピンのドゥテルテ大統領について、同国セブ在住の日本人・トム爺さんが面白おかしくレポートしています。国民が選んだとはいえ、行く先々で暴言や騒動を繰り返す大統領を、現地の人たちはどう思っているのでしょうか?

ビサヤン天国 ―体力と忍耐と― 天から降ってきた大統領だってさ

何だかすっかりもう世界的に有名人になっちまったドゥテルテ大統領。暴言王だとか、したたかだとか、マスコミは面白おかしく書きまくりますが、昔っから彼は良くも悪くも政治家なんですよ。パフォーマーってところがですがね。

南沙諸島問題で、「もし南沙諸島問題を無しにしてきたら弾劾だ!」とまで身内から言わるほどその言動が心配されていた訪中先で、主席と一緒の記者会見。

あ~あ~ガム噛んじゃってるよ(笑)。小国フィリピンじゃないんだってなところ、フフン! とばかりに余裕を見せて。

「我々は米国から決別する!」なんて発表しちゃって。ドカン! 国家レベルのリップサービス

こうなるともう彼は止められない

大事なのは我々が中国に助けを求めていることだ。中国に友好の手を差し伸べたい。

フィリピンの財政は緊迫している。資金が足りず経済が発展できていない。中国の投資、技術、カネが必要なんだ。

中国の助けがないとフィリピンは発展できない。

私は何も恐れない。中国は誠実な国家で、ダレも欺かず、戦争を望んでない。中国はこれだけ豊かなのに、戦争をやって発展の成果を浪費するはずはない。

すげえなあ。よくもまあサラサラと。

あれだけ心配されていた南沙諸島問題に関しては色々言われてるが、結局なんもしてない。逆になんだか相手から「争いは棚上げ出来る」なんて言質引出して、南沙諸島のフィリピン漁業民操業については「適切にアレンジする」なんて言わせて漁民の入漁を認める姿勢を示させた。

では訪中で最終的に何をGETしてきたか。中国側から麻薬中毒者の更生施設のために90億ドルの低金利ローンを支援するという約束。更に150億ドルに達する13項目の経済協力案件に署名。フィリピンの輸出商品であるフルーツも37品目に対して輸入を認める。フィリピンに渡航する旅行者に警戒情報をだしていたが、それを解除。中国では「天から降ってきた大統領」なんて言われたそうで。

すげえなあ。

実は彼のすごいのは、切り返しの速さ。あれほどはっきりセパレーションなんていったにもかかわらず、帰国後「アメリカからしっかり自立するってことだよ。長年続くアメリカと関係を断つなんてことあるわけないじゃん!」ってな風にチャラっと言いのける。

続いての訪日。来る前から日本では連日彼の報道がされて、大いに話題になっていた。来たら来たで、なんだかすげえ盛り上がり。ホテル前に集まった在日フィリピン人達の熱狂的な歓迎ぶりは、どこのロックスターが来たんだと。どうみても何か事前にアレンジされていたように思うんだがね。

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