なぜ日本人はそこまでして「いい人」を演じ続けようとするのか?

 

社会を息苦しくしている犯人こそ「いい人」

たとえば多くの人は、自分の個人情報が洩れることを大きな問題にします。

以前にもご紹介した話ですが、某通信教育大手の企業で子どもの個人情報が漏洩するという事件が起き、わが家にも商品券が送られてきました。確かに企業からすれば、これは大きな不祥事と言えます。

しかしよくよく考えてみると、自分の個人情報が漏れたところで何か困ることはあるでしょうか

住所やメールアドレスが漏れたら、何かDMなどが来るかもしれないですが、無視すればいい。セールスの電話や訪問が来ても「いらないよ」と言えばいい。

子どもの情報が洩れたら誘拐などの犯罪に使われる?誘拐は突発的に行われるか、顔見知りの犯行であり、そんな無味乾燥なリストを使って子どもを狙うでしょうか?

クレジットカード情報が漏れたなら問題ですが、年収や貯蓄額や借入情報が漏れたところで別に実害は発生しないでしょう。

もっとも、悪徳セールスの餌食になりやすい高齢者や、別の目的で狙われる恐れがある若い女性などは気をつける必要があると思いますが、一般個人としてはとくに失うものはありません。

そうやって具体的に思考を深めていけば、私たち個人には実損は発生しないわけだから、過剰に気にする必要はない、とわかります。

つまり個人情報が洩れたくらいでいちいち騒ぐ人は感情的になって思考が浅いのです。

思考が浅ければ、それで何が困るか、なぜ恥ずかしいのか特定できませんから、単に自分の思い込みによる判断になります。

それは「いい人」の、どこにも存在しない「こう思われるのではないかという思い込みと同じ精神構造です。

つまり企業や政治家、芸能人などの不祥事で騒いだり不謹慎狩りをするのは、いい人なのです。

しかしそうやって騒ぐから、社会はより生きづらさを増していく

実は、私たちが生きる世界の閉塞感を強めている犯人こそ、常識や道徳心を守るいい人」たちなのです。

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