が、この欠点を補完する裏ワザもあります。それは、被相続人が死亡する前に、生命保険を「贈与」することです。生前贈与ということです。つまりは、生命保険の受取人を、被相続人(資産家)から相続人(資産家の親族等)に変更するのです。生命保険の譲渡をする際にも、当然、贈与税がかかります。生命保険の場合、贈与した時点での「解約返戻金」が、贈与税の対象額となります。前述しましたように、この生命保険(租税回避商品)は、加入して満期が来るまでの間は、解約返戻金が非常に低くなります。だから、解約返戻金が非常に低い時期に贈与すれば、贈与税はほとんどかからなくなります。
たとえば、15年満期で掛け金5,000万円の生命保険を例にとります。ある資産家が、この生命保険に前払いで加入したとします。この生命保険は、加入してから14年目くらいまでは、解約返戻金がゼロに近くなります。この生命保険を加入14年目に、息子に贈与したとします。すると、この生命保険の贈与税の対象となる資産価値はほとんどありませんので、贈与税はほとんどかかりません。が、翌年、満期になると、5,000万円の返戻金がもらえるのです。つまり、5,000万円をほとんど無税で贈与することができるのです。