日本の「ゴミの分別」は本当に役に立っているのか?武田教授が苦言

 

環境を考えるのであれば「リサイクル」よりも「食料廃棄量」を減らすべき

一年に200キログラムを消費する食料ですが、食べて、それで体を作り、毎日のエネルギーにして残りが糞尿になります。人間の排出する糞の量は1年で70キログラム程度で、残りはエネルギーとして消費されて吐く息の中に入り込んでいます。だから食品リサイクルするとしたら、70キログラムの糞ですが、もちろんリサイクルしても食料にはなりません。かつては畑に撒いて肥料として利用していましたが、現在では伝染病の防止、臭気などから使われることはありません。

むしろ糞尿は下水道に流れ、集中処理場でさらにエネルギーや物質を使って処理をして海などに流しています。それしか方法はないのですが、その理由は、「食べることのできる食料は清潔で栄養価に富み、味もよく、それに対して使い終わった糞尿は汚く、栄養価値はなく、到底人間が食べることができないから」ですが、「使うということは価値のある状態から価値のない状態」にして、その結果、人間が活動できるということですから、本質的なことなのです。

このように「元に戻らない世界」に私たちはいて、それはちょうど、昨日は今日に戻らない、時間は一方向に進むというのと原理的には同じです。

よく「食品リサイクル」というのを聞きますが、食品は実際に食べられたものはリサイクルできませんし現実にリサイクルしてもいません。ところが、高級ホテルなどで仕入れた食料の90%ぐらいを使わずに捨てるという場合には、捨てる食料も新鮮なものが多いのですが、賞味期限があるので人間は食べることができません。そこで若干は動物のエサなどに使えます。それに対して一般家庭からでるゴミの中の廃棄食品などは非衛生的で価値もなくもし再利用すると危険極まりないものです。

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