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科学者が明かす、「電磁波」をそんなに怖がらなくてもいい理由

携帯だけでなく、冬には恋しくなるこたつや家事には欠かせない電子レンジなど、我々はさまざまな「電磁波」に囲まれ生活しています。とは言え、電磁波ってナニ? 危なくないの? という方も多いはず。そんな疑問に無料メルマガ『アリエナイ科学メルマ』の著者で科学者のくられさんが明快に答えくれています。

温度とは何か? 光とは何か?

空がどうして青いのかに近い、根本的な質問。「温度とは分子の震動光とは電磁波の可視光領域」で、ドヤっててても仕方ないので、その意味を説明いたします。

物体は熱というエネルギーを受け取ると分子自体が振動します。実際に、熱湯の方が冷水より早く砂糖が溶けたり、多くの化学反応が過熱しなければ反応が開始しないのと同じで、ある程度分子自体が震えて安定状態から分子振動が多い状態にして、反応しやすくするというわけです。

熱は多くのエネルギーの形の中で最も生じやすいもので、例えば赤外線などの電磁波が当たると多くの分子でストップ(クエンチする)して波長の長い電磁波が分子を振動させるこれが熱です。

故にこたつの赤外線は当たった部分がすぐ暖かい。波長が小さければ、人間の体でいえば奥まで光が届くと言えます。それが特に、真空紫外線やUVA、UVBが皮膚細胞の遺伝子まで届いてしまうことがあって、それが当たり所がわるくて修理が間に合わないと皮膚癌になるとかそういうことにつながるわけです。

マイクロ波(電子レンジ)も根本的原理は同じ。紫外線やガンマ線で加熱するのは不可能ではないが非効率的。そもそも熱を感じる紫外線とかガンマ線は死ねるわけですw

←γ線・X線―真空紫外線―紫外線―<可視光領域>―赤外線―遠赤外―マイクロ―無線電波帯→

多くの人は電磁波と光(可視光)を別物扱いしているが、上記はすべて波長が違うだけで電磁波と呼べる。電磁波はエネルギーの波である。だから例えば、可視光の領域は動物によってかなり違うため、「見える」「見えない」の線引きは動物によって異なるとも言えるわけです。

電磁波は波の大きさによって性質が違うため名前が付けられている。だからもしかすると携帯の電波帯を見ることができる宇宙人がもしいたとしたら、wifiはすごく明るく光ってみえるだろうし、携帯とか眩しくて使ってられないかもしれません。

色があるというのは可視光域の波長の見えている色以外を吸収しているから色が存在するだけである。放射線であるγ線などは波が小さいので物体を貫通しやすい、赤外線は適度な波長なので止まって熱に変わりやすい、無線波は波が超でかいので遮蔽物があっても回り込むことで通ったように見える点など可視光とは違った挙動をするが、基本的には電磁波と考えれば、言うほど恐れを抱く必要もないんじゃないかなぁ…と思えてくるわけです。

image by: Shutterstock

 

アリエナイ科学メルマ
著者/くられ
シリーズ15万部以上の不謹慎理系書「アリエナイ理科ノ教科書」著者。別名義で「本当にコワい? 食べものの正体」「薬局で買うべき薬、買ってはいけない薬 」などを上梓。学術誌から成人誌面という極めて広い媒体で連載多数。
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