狂犬は中国に噛み付いた。米国防長官「尖閣を守る」発言の破壊力

 

もう一つのポイントは、「アメリカのバックパッシングに気をつけろ」ということ。2015年3月からずっと書き続けてきましたが、アメリカが中国と覇権争奪戦を行うことは間違いありません。その時、「バックパッシング」(責任転嫁)という方法があります。

これは、「他国を敵国と戦わせる」という意味。たとえば、アメリカは、プーチンをつぶしたいと考えている。しかし、米ロが直接戦えば、核戦争になって人類が亡びます。そこで、傀儡国のジョージアやウクライナをロシアと戦わせる。これを、「バックパッシング」という。

アメリカは、「中国に勝つために日本を中国と戦わせよう」と発想するかもしれない。これ、「ひどい!」と思うかもしれませんが、戦略の「常識」です。

実をいえば、トランプさんも「日本は、アメリカをバックパッシングしている!」と考えている。もちろん、彼はそういう言葉を使いません。「もし日本が攻撃されたら私たちは直ちに救援に行かなくてはならない。もし私たちが攻撃を受けたら日本は私たちを助けなくてもいい。この取引は公平なのか?」と言います。

いずれにしても、アメリカが日本をバックパッシングする可能性については、いつでも覚えておく必要がある。

では、日本は防衛費を増やしながら、「バックパッシング」を回避するために何をしなければならないのか? これは簡単で、「中国を挑発しない」ことです。日本政府は、「アメリカがバックにいる!」と喜んで、中国を挑発してはいけないのです。

アメリカが日本に疑念を抱くほど中国と仲良くするのもダメですが、挑発して、わざわざ戦争を招くのも愚かなことです。

いずれにしてもマティスさんの来日。日本にとっては、「大成功」といっていいようです。

image by: 首相官邸

 

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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