この、最後通牒ゲームが示していることは、人間は、必ずしも経済合理的な判断を行うのではなく、自分がないがしろにされたり、不当な利益を得たりといったことが許せないという公正、公平を求める感情があるということです。離婚問題は、感情のもつれがあることがほとんどですから、とくにそのような傾向が強くなるでしょう。
離婚問題の解決に大切なことは、金額的な話し合いをする前に、まず話し合いができる状態に持っていくこと。別れて、早く別々の生活をスタートした方が互いに幸せだから、そのために協力し合おう、と合意したうえで金銭的な問題について話し合わなくては、互いに疑心暗鬼になり、話はまとまりません。
これはビジネスの世界にも当てはまります。ビジネスは理性的に、経済的合理性にかなうよう進めるものですが、交渉などでは、公正を求める感情により、態度を硬化することが多々あります。その心理を知らないと、互いにとって良い条件であっても決裂し、いわば最後通牒ゲームで双方がゼロとなるような不利益を被ってしまいます。
交渉で相手から感情的な拒否を受けた場合は、金銭などの主張の裏に、自分が軽視されているという感情的な反発が隠れているのかもしれません。その場合、まず感情の部分を手当てする必要があります。
そして、感情で話をしているときは、金銭など理性的、合理的な話をしないことが交渉をうまくまとめるうえでのポイントとなります。
今回は、ここまでです。
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