【宇宙ヤバい】NASA重大発表の内容を出席メンバーから予想してみた

 

記者会見出席メンバーから発見内容を予想する

それでは、今回は系外惑星について、どんな知見が得られたのだろうか。2016年の時のように、また、多数の惑星が系外惑星リストに加えられるのだろうか。

今回の発見の内容を知る手がかりは記者会見に出席するメンバーにある。各メンバーの属性、つまり、得意とする専門分野を調べれば、どのような内容かを絞り込める。さっそく、ここで公式サイトに掲載されている記者会見出席メンバーを見てみよう。

Thomas Zurbuchen, associate administrator of the Science

 

Mission Directorate at NASA Headquarters in Washington

 

Michael Gillon, astronomer at the University of Liege in
Belgium

 

Sean Carey, manager of NASA’s Spitzer Science Center at
Caltech/IPAC, Pasadena, California

 

Nikole Lewis, astronomer at the Space Telescope Science
Institute in Baltimore

 

Sara Seager, professor of planetary science and physics at
Massachusetts Institute of Technology, Cambridge

1人目のThomas Zurbuchen氏はNASA本部の人だ。NASA本部の偉い人は発見内容の本質には無関係な、ただの調整役。なので、この人からは何の情報も引き出せないのでパスする。

2人目のMichael Gillon氏は、ベルギーのリエージュ大学に所属する天文学者。NASAの所属でないのにもかかわらず、わざわざNASA主催の会見に出席するところがポイント。Gillon氏はトラピスト望遠鏡(TRAPPIST)を用いて、系外惑星系の観測を行っている。今回のキーパーソンだろう。

3人目のSean Carey氏はNASA Spitzer Science Centerのマネージャー。Carey氏について検索をしても、彼の専門分野の詳細についてはよくわからない。ただし、彼がNASA GoddardでもNASA Amesでもなく、NASA Spitzer Science Centerの所属というのは、ヒントになるだろう。NASA Spitzer Science CenterはNASA JPLに関係のあるセンターと思われ、スピッツァー宇宙望遠鏡(Spitzer Space Telescope)を運用している。

4人目のNikole Lewis氏はアメリカ・ボルチモアにある宇宙望遠鏡科学研究所に所属する天文学者。彼女の専門は系外惑星の大気の解析。しかも、スピッツァー宇宙望遠鏡を用いた解析にも関わっている。これらは大きなヒントになる情報だ。

5人目のSara Seager氏はマサチューセッツ工科大学の宇宙物理学者。系外惑星の大気の解析などで功績がある。TEDでも系外惑星についてプレゼンをしている。

 

 

これら5人のメンバーのバックグラウンド調査からは、「系外惑星」の他に「望遠鏡」や「大気分析」といったキーワードが引き出された。つまり、これらのキーワードをつなげてみると「望遠鏡で系外惑星の大気分析をした」となる。つまり、今回は「系外惑星をたくさんみつけた」という量的な発見ではなく、「特定の系外惑星の大気を分析して何かがわかった」という質的な成果なのだろう。

生命を育める系外惑星についての報告か

さらに、もうひとつ大事な前提がある。ここ最近の宇宙探査の目的は、地球外生命の探索がメインになっている。これは、アストロバイオロジー(宇宙生物科学)が扱う研究分野だ。実際に、ここ数年、NASAが開くこのような会見はすべて、アストロバイオロジーに関わる成果報告の場になっている。今回の発見も間違いなく、アストロバイオロジーに根ざしたものだろう。

アストロバイオロジーを軸とした、系外惑星の大気の分析。ずばり、今回の発見内容は、「ある系外惑星に生命が存在しうる大気成分がみられた」というものだろう。たとえば、あるスーパーアース(岩石成分でできている地球の数倍程度の大きさの系外惑星)の大気に水蒸気、酸素、二酸化炭素、メタン、オゾンなどが観測された、などである。

これは一部、上の小野さんの予想ともかぶる。私としては、これにプラスアルファとして、その系外惑星の表面温度が「液体の水」を保持できる範囲内である可能性、つまり、ハビタブル生命棲息可能な惑星であることが強く示唆されるような内容も、今回の発見に含まれるのではないかと予想する。

今回の観測には、スピッツァー宇宙望遠鏡の分光計などを用いたと思われる(分光トランジット観測)。これは、観測されたスペクトルにより大気の成分を予測する方法である。よって、「地球外生命体そのものの検出」はできない。

以上が、クマムシ博士による今回のNASAの会見内容の予想である。

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