さらに突っ込んだ予想をしてみる
さて、おまけで、ここからはさらにもう少し突っ込んだ予想をしてみたい。
今回の成果でフォーカスする系外惑星だが、おそらく新規のものではなく、すでに見つかっている既知のものである可能性が高いと考える。有名なスーパーアースとしてケプラー22bやグリーゼ581gなどがあるが、今回はTRAPPIST-1の系外惑星群をフィーチャーした可能性が高い。
TRAPPIST-1は、太陽系から40光年の距離に位置する、きわめて小さな赤色矮星である。2016年には、このTRAPPIST-1の周りを公転する複数の系外惑星の存在がトラピスト望遠鏡により確認された。これらの系外惑星TRAPPIST-1b、TRAPPIST-1c、そしてTRAPPIST-1dは、生命を宿す可能性があるとして注目されている。そしてこの成果は、今回の記者会見に出席するGillon氏が主導する研究チームによるものだ。
●Gillon et al. (2016) Temperate Earth-sized planets transiting a nearby ultracool dwarf star. Nature
もしかすると、今回は、スピッツァー宇宙望遠鏡によってこれらの系外惑星の大気や表面温度を詳細に解析した結果、「第二の地球」にふさわしい条件をもつことがわかったのかもしれない。そうだとしたら、たったの40光年しか離れていないところにも生命体がいる可能性が出てくるわけで、相当に面白い発見である。
ただ一方で、この予想には不安要素もある。現在の技術では、地球より少し大きいくらいの系外惑星を解析するのは難しい。これらの系外惑星の大気を詳細に分析するためには、まだ打ち上げられていない次世代宇宙望遠鏡「James Webb Space Telescope」の活躍を待たなくてはならないと言われている。スピッツァー宇宙望遠鏡
のスペックで、系外惑星の大気をどこまで詳細に分析できるのか、疑問が残る。
若干、もやもやした部分が残るが、これが現段階で私が考えうる、NASA会見内容の予想である。当日の会見を、楽しみに待ちたい。
【参考資料】【書評】我々は特別な存在か。宇宙的バランス感覚を養う一冊『生命の星の条件を探る』
image by: NASA JPL/Caltech (images used under NASA media usage guidelines)
記者会見で発表された最新情報はこちらの記事から!
●【NASA】地球サイズの「太陽系外惑星」7つ発見と衝撃発表