森友学園、愛と憎しみの証人喚問を新聞各紙はどのように伝えたか?

 

昭恵氏側とは…

【東京】は1面トップに2面解説記事「核心」、3面には回答ファックスの全文、5面社説、6面詳報、28面29面は国会ドキュメント、30面31面にも関連記事。見出しから。

1面

  • 昭恵氏側、財務省に照会
  • 籠池氏に回答FAX
  • 国有地契約変更 「希望に沿えない」
  • 「寄付 公にしないでと電話受けた」
  • 昭恵氏「土地契約関与していない」

2面

  • 昭恵氏側関与で食い違い
  • 籠池氏「神風が吹いた」
  • 首相側「夫人対応せず」

3面

  • 夫人にもすでに報告
  • 証人喚問 三者三様の論戦
  • 昭恵氏の喚問を要求 野党「口利きともとれる」

5面

  • 昭恵氏は真相を語れ(社説)

28面29面

  • ドキュメント「籠池劇場」国会編
  • 主役 話しぶり堂々
  • 「私が言うことが真実」
  • 市民団体「もっと悪い人いる」
  • 傍聴者「議員より役者が上」

30面31面

  • 「真実はっきりしない」
  • 「100万円寄付」「事実は小説より奇なり」
  • 「工事契約書3通」「刑事訴追の恐れ」逃げ腰
  • 攻勢 劣勢 籠池節4時間半

uttiiの眼

【ラインナップ】で示した各紙の1面トップ見出しを、もう一度並べてみてみよう。

《朝日》…「昭恵夫人付職員が関与」
《読売》…「籠池氏『首相夫人に相談』」
《毎日》…「首相夫人付き職員が照会」
《東京》…「昭恵氏側、財務省に照会」

《読売》を除く3紙は、主語が昭恵氏側もしくは首相夫人付きの官僚となっている。《読売だけは籠池氏。昭恵氏サイドは飽くまで受け身であり、何かの主体ではなく客体の側に置かれているのが《読売》の書き方。他紙は総て、小学校用地の問題で籠池氏の依頼を受け、昭恵氏に付いていた官僚が、財務省に対して紹介を行った局面を問題にしている。《読売》と他の3紙とでは、単に主語が違うだけでなく、シーンが違うことに注意しておきたいと思う。

はっきりしているのは、昭恵氏の電話の留守電に吹き込まれた籠池氏の依頼を受けて、昭恵氏に付いていた官僚が財務省の担当者に照会行為を行い、回答を得てから昭恵氏に報告し、FAXで籠池側に回答したという事実。

《東京》ももちろん、主語は「昭恵氏側」であり、その昭恵氏側が財務省に照会をしたと書き切っている。4紙の中で最も踏み込んだ書き方だということが分かる。「財務省」と見出し1行目に書いたのは《東京》だけ。《朝日》と《毎日》は2行目に「財務省」を出している。

こうなると、あとは「昭恵氏側の内実が何なのか

安倍氏も昭恵氏も、菅官房長官も、昭恵氏自身の関与は一切なかったと抗弁しているようだ。これが虚偽であれば、安倍氏は総理と議員を辞職しなければならない。

野党は早々に、谷査恵子氏の証人喚問を要求すべきではないのか。谷氏はどのような手順で財務省に連絡を取ったのか、その際に、何と名乗ったのか、電話なのか面会なのか書面によるものだったのか、その間に政治家は関与しているのかいないのか。聞きたいことはいくらでもある。「財務省への照会」がどのような態様でなされたのかによって、昭恵氏がこの件に関与したのかしなかったのか、結論が出るだろう。

以上、いかがでしたでしょうか。

膨大な量なので、ちょっと四苦八苦しました。《毎日》が安倍総理夫人について「昭恵リスク」という言葉を出して記事にしていたのもご紹介したかったですが、時間がなくなりました。

image by: WikimediaCommons(L26)

 

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ニュースステーションを皮切りにテレビの世界に入って34年。サンデープロジェクト(テレビ朝日)で数々の取材とリポートに携わり、スーパーニュース・アンカー(関西テレビ)や吉田照美ソコダイジナトコ(文化放送)でコメンテーター、J-WAVEのジャム・ザ・ワールドではナビゲーターを務めた。ネット上のメディア、『デモクラTV』の創立メンバーで、自身が司会を務める「デモくらジオ」(金曜夜8時から10時。「ヴィンテージ・ジャズをアナログ・プレーヤーで聴きながら、リラックスして一週間を振り返る名物プログラム」)は番組開始以来、放送300回を超えた。

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【著者】 内田誠 【月額】 月額330円(税込) 【発行周期】 週1回程度

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