森友学園、愛と憎しみの証人喚問を新聞各紙はどのように伝えたか?

 

「信憑性」を慎重に判断…

【読売】は1面トップに2面記事、3面「スキャナー」と社説、4面、12面に詳報、38面39面の社会面にも記事。見出しを拾う。

1面

  • 籠池氏「首相夫人に相談」
  • 「寄付100万円」も主張
  • ファクス公表 首相側 関与否定
  • 昭恵氏「謝礼頂いた記憶ない」
  • 問題発覚後 籠池氏妻とメール

2面

  • 「背景に政治力」主張
  • 認可「元府議に期待」■国有地「稲田氏夫に相談」
  • 「首相の名」使用時期に疑問

3面

  • 昭恵氏に「依頼」波紋
  • 政府職員が応対 野党「忖度働く」
  • 与党「寄付」の信憑性追及
  • 信憑性を慎重に見極めたい(社説)

4面

  • 籠池発言 与野党を翻弄
  • 与党 幕引き目算狂う
  • 野党 真偽見極め慎重
  • 名指し議員ら働きかけ否定
  • 昭恵氏のFBコメント
  • 籠池氏妻とのメール要旨

38面39面

  • 関係者は次々否定
  • 「10日間隠れて」発言 財務省「ない」
  • 持論4時間 証言拒否も
  • 「刑事訴追の恐れ」連発
  • 食い違い「神のみぞ知る」

uttiiの眼

一言で言えば、今朝の《読売》は「キメラのようだ。証人喚問の実際から得られる印象と帰結をストレートに言葉に表したものと、この重大なピンチの状態をなんとか切り抜けようという政府・与党そして読売にも共通する意図を背景にしたものとがない交ぜになっているかのようだ。

後者に分類されるものの代表格を1つ揚げてみよう。1面トップ記事。見出しを見れば、籠池氏が安倍昭恵氏に相談したこと、また寄付金100万円についても「主張」したことはわかるが、「ファクス公表 首相側 関与否定」と書かれた見出しを見ても、それだけでは何のことか分からない。記事の中を見て、夫人付きの政府職員が関与したらしきことが書かれているのだが、この重大な事実が見出しにきちんと見えていないのは異様だ。そして、その結論に、「昭恵氏の関与はなく問題ない」と菅官房長官が強調した旨書かれている。因みに、《朝日》は1面トップで「昭恵夫人付職員が関与」と大書している。

《読売》の記事がこんなふうに歪んでいく理由ははっきりしている。

実は、1面記事と2面の記事に、その内容が共通する文章が含まれている。それは、安倍氏が「私や妻が小学校の認可や土地の払い下げに関わっていたとしたら首相も国会議員も辞める」と断言しているということだ。昭恵氏の関与だけは絶対に認めてはならない、認めてしまえば総理は議員を辞職せざるを得なくなる。「森友学園」にまつわる問題で《読売》が一番心配しているのがこの点だということが明らか。まあ、当然だけれど。

もう1つ。3面には「スキャナー」と社説が隣り合っておかれているのだが、「スキャナー」の最後のブロックのすぐ左隣が社説という位置関係。で、この最後のブロックと社説の見出しが実はシンクロしている。一方が「与党『寄付』の信憑性追及」、もう一方は「信憑性を慎重に見極めたい」。いずれも、「信憑性という言葉を使い籠池氏の証言が真実ではないウソだという観点からの見出しになっている。「信憑性」とは、人の言動が信じられ、依拠できる度合いということで、高い低い、あるいは薄い厚いもあるのだが、この言葉をわざわざ使うケースでは、「信憑性が低い」という側で用いられることが多いように思われる。自民党はこの「信憑性を問うことを作戦とし、実際にそのような質問を繰り返した。《読売》もまたそのことを感じ取り、見出しのなかに同じ言葉を叩き込むことで、安倍政権を守ろうとする姿勢を明らかにしているように見える。

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