過去最高のUSJ、苦戦のディズニー。明暗分けた年間パスの価格設定

 

価格設定の違いは?

次に価格設定を見てみると、4月7日現在、USJは、1回券が7,600円で年間パスポートが2万2,800円。一方、TDRは、1回券が7,400円年間パスポートが6万3,000円。ちなみに、今月名古屋で開業したレゴランドは、1日券が6,900円、年間パスポートが1万7,300円。

1日券のみを比較するとUSJの方が100円高いのだが、大きな差は年間パスポートの額にある。TDRはUSJの約3倍なのだ。ちなみに、この価格は1パークのもので、TDRのランドとシーの両方に1年中いつでも入れる2パーク用のパスポートは9万3,000円だ。TDRは、開園からの30年以上の歴史や、積み上げてきた認知度にイメージ、首都圏にあることなどが、ブランド資産になっているために、年間パスポートをこの額に設定しているのであろう。

上記以外にも、大人中人小人とか、ナイトチケットなど、価格設定を細かく分けている点も、TDRの特徴だ。一見、高いようにも見えるが、1日券に関しては、アメリカのディズニーランドよりも、低く設定はされているようである。

一方のUSJは3回行けば元が取れる年間パスポートの価格設定に、シンプルな価格コースを用意している。大阪にあることもあり、分かりやすさと、お値打ちさを感じることができるため、ファミリー層だけでなく、10代の学生層にもアピールできていると言えそうだ。

価格設定、すなわち値決めは、非常に重要だ。

USJに関しては、数学マーケティングの手法を用い、価格を設定するようにしたとのことだ。詳しくは、『ダイヤモンド・ハーバード・ビジネスレビュー(HBR)17年3月号』の特集「顧客は何にお金を払うのか」に詳しく書かれているので、一度読まれることをオススメするが、価格設定を、主観的に、「顧客がこれくらいならお金を払うであろう」との推測や過去の経験値だけで決めていくのは、大きな不確定要素を含む

数学的なアプローチや、PSM(価格へのセンシティビティメジャメント)分析など、「客観的な視点を入れ込むことで、最適な価格を設定することが重要なのだ。

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