シリアを攻撃した結果、ロシアは激しく反発しました。しかし、ロシアはシリアのアサド政権が毒ガスを使用することをこれ以上黙認(あるいは協力すること)はできなくなりました。
ただ、この行為によって、ISISはロシアという直近の脅威を緩和できるかもしれません。
これが今回紹介したニューヨークタイムズのヘッドラインに書かれた a risky unpredictability(不透明なリスク)なのです。
では、北朝鮮はどうでしょう。
金正恩は、いつアメリカのミサイルが自分の頭の上を直撃してくるかと思いながら、眠れない毎日を過ごしているかもしれません。
あるいは、中国が先手を打って、北朝鮮に介入することを警戒しているかもしれません。
しかし、その結果北朝鮮、そして中国がどのようなアクションを起こすのかも、同じく a risky unpredictability なのです。
なにせ、素人からプロの大統領へと体質改善を焦るドナルド・トランプがアメリカの指導者である以上、誰も彼が次にどのようなアドリブ(ヘッドラインでは a highly improvisational and situational approach)に出てくるか予想できないのです。
こうした様々な思惑が飛び交うなか、毒ガスを浴びた名もなき人々が悶絶し、財産を奪われた人々が難民となって国外へと命がけの逃避行を続けます。
人類が「万物の霊長」となって以来、常に繰り返してきた愚行と悲劇が、今も続いているのです。
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