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聖徳太子が建てた華道の聖地。京都のおへそ「六角堂」を往く

京都のちょうど真ん中、おへその部分に位置する、聖徳太子ゆかりの「六角堂(頂法寺)」。華道の聖地として、また縁結びのご利益がある寺院としてもよく知られています。今回の無料メルマガ『おもしろい京都案内』では著者・英学(はなぶさ がく)さんが、この六角堂の多彩な見どころを紹介しています。

京都のおへそ・六角堂

このお寺は京都市中心部四条烏丸から少し上がった(北に行った)ところに平安京が出来る前からあったとされています。六角堂頂法寺)は京都駅からまっすく北に伸びる烏丸通りの四条と三条の中間にある聖徳太子ゆかりのお寺です。正式名称は頂法寺ですが、本堂が六角形をしていることから六角堂の名で親しまれています。

華道家元池坊家が住職を務める寺院で、生け花発祥の地としても有名です。西国三十三所観音霊場の十八番札所でもあり、昔から巡礼者がたくさん訪れていたようです。

六角堂は587年に聖徳太子によって建立された由緒ある寺院です。聖徳太子は熱心な仏教徒でした。淡路島に流れ着いた如意輪観音像を念持仏として持ち歩いていたと伝えられています。念持仏というのは、自分が祈りを捧げるために常に持ち歩くことの出来る仏像です。昔の人はお守りのように小さなポケットサイズの仏像を持ち歩いていたのですね~。

六角堂の由来

聖徳太子は四天王寺を建立するために京都盆地を訪れたそうです。その時に、現在六角堂が建っている場所で沐浴を行ったようです。沐浴というのは水で身体を清めることなのですが、主に宗教儀礼として行う場合このようにこの言葉を使うようです。

聖徳太子が沐浴を終えて年持仏を手に取ろうとすると、仏像は「この地にとどまって人々を救う」と太子に告げたそうです。太子はこれに従って仏堂を作って観音像を祀りました。これが六角堂の始まりといわれています。

鎌倉時代、浄土真宗の開祖、親鸞(しんらん)は六角堂で百日間籠(こも)るという修行を行ったことで有名です。親鸞は修行中に聖徳太子の夢を見て、浄土宗の開祖・法然に帰依するようになったと伝えられています。

室町時代になると六角堂は町人が集まる集会所のような憩いの場となりました。江戸時代には、観音霊場の場として日本全国の庶民の信仰を集め、周辺には門前町が形成されました。

今もこの辺りが栄えているのはその時の名残といえるでしょう。明治時代以降も六角堂は町の中核であり続け、今でも地元の人々からは「六角さん」と呼ばれ親しまれています。時代が変わっても六角堂はずっと同じ場所にあって、多くの人々の信仰を集めてきたのです。

生け花発祥の地

生け花には様々な流派がありますが、最も歴史の古い流派なのが池坊です。池坊は六角堂の住職兼、家元を務め、現在まで40代以上続く華道家の家柄です。本坊は聖徳太子が沐浴した池のかたわらに建てたことから池坊」と呼ばれるようになりました。

六角堂では、本尊の如意輪観音像に花を供えることは修行の一部でした。室町時代中期、六角堂で修業をしていた池坊専慶(せんけい)の立花が好評を得ました。後に専慶は立花を体系立て、生け花は全国的に知られるようになりました。華道に興味のある方は是非この華道の聖地とも言える場所を訪れてみて下さい。六角堂では一年中生け花の行事が開催されていますし、毎年11月には花供養が行われます。また、六角堂に隣接する池坊会館は春と秋の華道展期間以外は見学可能なのでこちらも是非足を運んでみて下さい。

見どころ

本堂は、眼・耳・鼻・舌・身・意の6つから生まれる欲を断つという願いから、六角形に造られています。本尊の如意輪観音坐像は絶対秘仏のため、「お前立」と呼ばれる同じ形をした仏像を厨子(ずし)の前に安置させています。

境内の「へそ石」は、山門をくぐってすぐの場所にある六角形の石です。平安京を建設する時にお堂が街路にかかってしまっていました。そんな時に桓武天皇が祈ったところ、六角堂が北へ15メートル動いたという伝説があります。この時に一つだけ残った礎石がこの石だということです。江戸時代までは六角通りにあったそうで、明治時代になってから境内に移されたと伝わります。六角堂は京都のほぼ中心に位置することから、この石をへそ石と呼ぶようになったそうです。

縁結びの六角柳

平安時代、嵯峨天皇は仏様から夢のお告げを受けました。そのお告げは、お妃を「六角堂の柳の下を探してみなさい」というものだったとか。嵯峨天皇はお告げ通り六角堂に行ってみたところ、柳の下には美しい女性があり、その方を妻にしたという伝承があります。それ以来六角堂の柳は縁結びのご利益があるとされ、現在でも縁結びを祈願する参拝者が絶えません。

境内には、仏の弟子である十六羅漢像や地蔵菩薩像が祀られています。十六羅漢像はどれもとても優しい顔つきで、地蔵菩薩像はよだれかけがかけられていてとても愛らしい姿です。

六角堂は京都のオフィス街の真ん中にありながら、静かで落ち着いた雰囲気が漂う寺院です。わざわざ足を運んで訪れる山の上にある山寺もいいですが、街中で古くから町人に慕われたお寺も良いものです。交通量の多い烏丸通りを少し東に入ったところにある六角堂は今も市民の憩いの場となっています。

聖徳太子にゆかりがあり、華道発祥の地でもある六角堂に是非一度は足を運んでみて下さい。京都の日常を感じる、ホッとできる空間なのできっと癒されること間違いなしです。

いかがでしたか? 京都は日本人の知識と教養の宝庫です。これからもそのほんの一部でも皆さまにお伝え出来ればと思っています。

 

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【著者】 英学(はなぶさ がく) 【発行周期】 ほぼ週刊

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