テレ朝『羽鳥慎一モーニングショー』がやらかす、露骨な「印象操作」

 

話を戻します。

加計学園における文科省関係者から流出したとされる「文書」を、現時点の状況証拠だけで取りあげるのはあきらかに「印象操作のやり過ぎ

なぜなら、いまだ「怪文書」の域を出ないからです。情報の出所が不明というのが最大の理由。

そしてパソコン内の共用部分を調べた結果として、官邸や政府が否定しているのです。それでも「事実」とするなら、怪文書を入手した玉木雄一郎氏と所属する民進党が入手元を公表すればよいだけのことです。

取材源の秘匿、情報提供者の保護、という点があるにせよ、そしてザル法と名高いながらも、公益通報者保護制度というものがあります。公務員も対象で、退職者は対象外です。

本当に文科省内部からの流出で、そして「怪文書」が「公益」を損なうのであれば、この法律により救済を試みることも可能でしょうし、野党とはいえ国会議員のもてるすべての権力を動員して守るべきでしょう。

しかし、こうした議論のないまま、ネタ元は明かさないけど、政府は個人のパソコンまで調べろとは、無理が通れば道理が引っ込む主張です。

すると噂レベルながら「怪文書」を売り込んでいたのが、出会い系貧困調査官・前川喜平氏説に信憑性を与えます。文科省の天下りを潰し学部設置の許認可権を侵害した安倍政権への反撃(というより攻撃)という説です。

なぜなら、前川喜平氏は退職者で、公益通報者保護制度が守るのは「労働者」でこれにあたらず、また加計学園への獣医学部の認可が「公益」に値するなら、やはりこの制度は守ってくれないからです。むしろ公務員の守秘義務違反に問われることでしょう。

目論んだ印象操作が、かえって疑惑を確信にするかの傍証を与えているのです。

なにより民進党がご丁寧に発表した「怪文書」を読めば、加計学園への利益供与、便宜を図ったというのではなく「国家戦略特区」という仕組みへの迅速性で、マスコミが繰り返す

これは官邸の最高レベルが言っていること(むしろもっと激しいことを言っている)

との箇所は、その前段にある

成田市ほど時間かけられない

にかかる言葉で、開学まで3年半を要した千葉県成田市の国際医療福祉大を指しており、それより「早く」ということで、加計学園を指すものではありません

さらに

「できない」という選択肢はなく、事務的にやることを早くやらないと責任をとることになる。早く政治トップの判断に持っていく必要あり。文科省メインで動かないといけないシチュエーションになっている

との箇所を、政治圧力により文科省が追い詰められたかのように報じられますが、何度か開かれた国家戦略特区ワーキンググループのヒアリングから、明確に拒否する理由を用意できなかった文科省の敗北だと、元財務官僚の高橋洋一氏は、「現代ビジネスプレミアム」に寄稿します。

ヒアリングの「超訳」をブログにまとめていますが、要約すると医師の需要や質の確保に対して、特区申請を却下するだけの論拠を文科省は用意できなかったのです。

こうした事実を伏せたまま、番組での印象操作は続いていきます。

今の官邸に不満を持っている人が多い

これを現役の文科省職員の声と紹介した上で「こういう人が多い」と羽鳥慎一

「いわされていることに不満を持っている人がいる」と寺脇研氏

不満の理由は何か? がポイントのはずで、「多いの分母は一切示されません。好悪の感情を提示し、漠然とながら多数を誇示するも、明示は避けることで、批判が来ても水掛け論に逃げることができるという卑怯な印象操作の手口です。

さらにジャーナリスト青木理氏は「森友学園では財務省から何も出てこなかった。文科省からは出てくる。色んな情報が出てくることで公益に資している。財務省は政権に資している。(略)文科省のなかにいる数少ない、前川さんのような正義感の強い人の存在は、この国の官僚組織のなかにも骨のある人がいるんだなぁ」と、仮定と想像を事実であるかに語ります

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