高齢化やファストファッションの台頭で苦境に立たされている日本のアパレル業界ですが、海外、特に中国での評価は少し異なるようです。メルマガ『j-fashion journal』の著者でファッションビジネスコンサルタントの坂口昌章さんによると、いま中国のアパレル企画会社は、パリを中心としたヨーロッパよりも、日本や韓国のデザイナーズブランドを高く評価しており、優秀な日本人デザイナーとの契約を強く望んでいるという実態を明かしています。
中国が評価する日本のクリエーション
ヨーロッパは怠けている?
中国のアパレル企画は、プルミエールビジョンとパリの市場調査から始まる。少し前までの常識が変わってきたらしい。
中国アパレル関係者曰く、「最近のヨーロッパは怠け者になった」「ヨーロッパから新しいトレンドが出てこない」「ヨーロッパは日本のトレンドを吸収して、ヨーロッパから出しているだけ」
「ヨーロッパのコピーばかりしている中国アパレルが何を言うか」と怒る人もいるだろう。しかし、コピーばかりしているからこそ、見えてくることもある。
コピーは安易な方法だが、それでもコストは掛かる。ヨーロッパ出張して、サンプルを買い集め、コピーしても売れなければ、採算割れである。
中国アパレルもオーバーストアと同質化に悩んでいる。どのブランドもヨーロッパ商品のコピーをしているのだから、同質化は否めない。
特定のブランドをコピーするとは、そのブランドに憧れている層が存在すること。その中で、本物は高くて買いたいが、類似商品が低価格で供給されれば購入する顧客が存在することを意味する。
ブランドに対する憧れがなくなれば、それを低価格で出しても意味がない。そう考えると、中国アパレルがヨーロッパ商品に魅力を感じていないとすれば、コピー商品だけでなく、本物もまた売れなくなるかもしれないのだ。