なぜ女は、社会参加しても家庭に入っても満足できないのか?

 

デザイアが人気小説が原作のドラマに、比較的大きな役として抜擢されたのです。彼女が喜び勇んで走った先は、この話を真っ先に伝えたいリタのアパートでした。

「聞いて聞いて!ついに私、端役じゃなく大きな役を掴みとる事が出来たわ!」

・・・・・しかし、喜んでくれると思ったリタの顔は、どこか浮かない表情です。

「おめでとう。でも私・・・・随分と前から親から帰ってこいって言われてて。こないだ実家へ帰省した時にバッタリ会った高校時代の彼氏と連絡取ってて、結婚しないかって言われてるの。色々迷ったんだけど、それも良いかなって」

「何言ってるのよ!今まで一緒に頑張ってきたんだから、諦めちゃダメだよ!」

「デザイアはキレイでいつも明るくて頑張ってて、きっと成功すると思ってた。でも私には才能が無いし、このままここで続けていく自信が無くなったんだ」

努力不足のクセに何言ってるの?諦めなければ夢は叶うんじゃなかったの?」

「やっぱりデザイアは私を見下してたんだね。それがずっと気に入らなかった」

2人はそれまでの不満を吐き出しあったことで大喧嘩し、絶交してしまいました。

—————-そして月日は流れ、喧嘩別れから3年の時間が過ぎていました。

デザイアはドラマはヒットしたものの注目はされず、また端役ばかりの舞台女優。しかしリタに対しては、「あの子は夢を諦めた負け犬」と心の中で罵っています

リタは大きな農家に嫁いで子供を2人授かり、姑らに苛立ちながらの忙しい日々。しかしデザイアに対しては、「あの子は夢にしがみつく負け犬」と憐れんでます

ですが本当は……デザイアは幸せそうなリタの話を間接的に聞いて羨ましく思い、リタは夢を追い続けてるデザイアをメディアで見かけては羨ましく思ってました。

そんなある日、突如神と思しき初老の男性が降り立ちデザイアにこう告げました。

「もし人生を後悔してるのなら、対価と引き換えにお前の願いを叶えてやろう

「私は夢を追い続けてきましたが、いつしか諦めに似た気持ちを抱いてました。でもリタの存在が諦めさせてくれず、意地になって続けてたように思います。本音で言えば私はリタが羨ましい。あんな風に家族に囲まれて生きたいです」

「ではお前は今までの生活を手放し、田舎で主婦生活をしたいと言うのだな?」

そして同じ頃、リタの所へも光をまとった神が現れて、同じセリフを告げました。

「もし人生を後悔してるのなら、対価と引き換えにお前の願いを叶えてやろう」

「私は夢を諦めましたが、本当は結婚などせずずっと追い続けたかったんです。でもデザイアが大役を掴んだと聞き、負けた気持ちで諦めたフリをしました。本音で言えば私はデザイアが羨ましい。あんな風に夢を追い続けたいんです」

「ではお前は今までの生活を手放し、都会の暮らしに戻りたいと言うのだな?」

—————-こうしてデザイアとリタの2人は、お互いの人生を奇妙な形で交換しました。

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