「あの花」の余韻も。「ここさけ」プロデューサーが明かす製作裏話

2015.09.10
by 横田吉木
(C) KOKOSAKE PROJECT(C) KOKOSAKE PROJECT
 

「あの花」のスタッフが再集結することで、この秋一番の話題作と言われる新作劇場アニメ「心が叫びたがってるんだ。」が9月19日にロードショーされます。

(C) KOKOSAKE PROJECT

(C) KOKOSAKE PROJECT

そんな「心が叫びたがってるんだ。」(通称:ここさけ)ですが、9月5日に『東京フィルムセンター映画・俳優専門学校Presents「心が叫びたがってるんだ。」上映会&作品プロデューサーによるティーチイン』が行われました。ティーチインには、本作の企画・プロデュースを担当したアニプレックスの清水博之プロデューサーが登壇し、参加者の質問に答える形で、作品の設定や裏話などが語られました。

アニプレックス清水博之プロデューサー

アニプレックス清水博之プロデューサー

そこで今回は、注目作「ここさけ」を、ティーチインで語られたプロデューサーの言葉も交えて紹介していきたいと思います。

「心が叫びたがってるんだ。」とは?

「ここさけ」を語る上で外せないのが、「あの花」の存在です。

(C)ANOHANA PROJECT

(C)ANOHANA PROJECT

「あの花」(あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。)は、2011年に放送されたTVアニメで、埼玉県の秩父を舞台にした、幼馴染の死という過去を抱えた主人公たちによる青春群像劇。高いドラマ性やノスタルジーを感じさせる構成でアニメファンのみならず人気を集めました。そしてTVアニメの枠に収まらず、2013年に劇場公開され、興行収入約10億円を記録。さらに9月21日にはスペシャルドラマとして全国フジテレビ系で放送されます。

アニメ・映画・実写ドラマと広がりを見せた「あの花」の制作陣が、監督・長井龍雪、脚本・岡田麿里、キャラクターデザイン・田中将賀。この3人が再び集結して、秩父を舞台に新たなアニメ映画を制作したのが「心が叫びたがってるんだ。」なのです。

「心が叫びたがってるんだ。」のストーリーは?

ストーリーは、幼い日のある出来事から心の傷を負ってしまった主人公の少女・成瀬順。彼女は喋るとお腹が痛くなってしまう呪いを「玉子の妖精」から受けてしまいます。しかし喋ることはできないが、歌うことならできることに気づき、学校行事の出し物に決まったミュージカルを通して、クラスメイトとともに成長していくという青春群像劇です。

主人公の成瀬順 (C) KOKOSAKE PROJECT

主人公の成瀬順 (C) KOKOSAKE PROJECT

舞台が「あの花」と同じ秩父ということで、関連性はあるのかというと、清水Pは「大きな意味だと同じ世界にキャラクターが共存している精神でやっていて、『あの花』ファンだったら探し出せるような事や、登場させた人物もでてきます。ただ、あまりやり過ぎてもいけないので、ちょっとしたエッセンスとして慎重に厳選して組み込んでいます」とティーチインで回答。さらに、本作のメインシーズンを秋とした理由についても、「『あの花』が夏の話なので、今回は静かな切なさを伝えるために、秋、晩秋にしました」と答えていました。

言葉と歌の持つチカラ

「ここさけ」では、主人公が喋るとお腹が痛くなってしまうという設定があるように、“言葉”がクローズアップされています。言葉を題材にした理由を質問された清水Pは、「現在はメールでなんでもできるじゃないですか。便利な半面、話せないことや話しづらかったりなど、そういう時代だと思うので、言葉の持つ重みとか痛さというものを、脚本の岡田さんを中心に盛り込んでいきました」。

そしてもう1つ重要なのが“音楽”。ミュージカルを通して主人公たちが成長していく、というストーリーのため、ミュージカルシーンはもちろん、随所で音楽が鍵となっています。音楽は制作段階で非常に迷った所だと清水P。「ミュージカルの音楽面と脚本面はデリケートな部分でしたので慎重に進めました。中でもミュージカルシーンはポイントなので、ミュージカルの曲のセレクションと劇伴との兼ね合いには気を使いましたね。いかに自然に楽しんでもらえるか、作品に感情移入してもらえるかを、音楽のミトさん(クラムボン)と横山(克)さんと話し合いながら進めました」と話していました。

主題歌に乃木坂46を選んだ理由とは?

本作の主題歌には、乃木坂46の新曲「今、話したい誰かがいる」が抜擢されています。清水Pは「今回、ミュージカルを舞台にした話のなかで、乃木坂が持つ青春感とか疾走感とか、歌詞の持つ切なさというところで、今回ご一緒させていただきました」と起用の理由についてコメント。

続いて「詩は、秋元康先生の所に岡田さん(脚本)と一緒に行って、いろいろお話した上で詩を書いていただきました。その時に話した「切ない作品なんだけど、登場人物が前向きに生きていくので、前向きになれる楽曲で最後を締めたいです」というところを汲み取ってくださって、切なさもあるけれど青春の疾走感もあるという、素晴らしい詩を書いてくださいました。また、映画を観た後に誰かに話したい、伝えたいという、色々な作品のテーマを歌詞や題名にも込めて頂きました」と大満足のようでした。

声優のキャスティングについて

さらに主人公役の声優に水瀬いのりさんを起用した理由について、「主人公の順役は、喋れないけど歌が上手いという、かなり要求が高い、難しい役でしたが、オーディションの時にテープを聞いて、順は彼女しかいないだろうと、かなり早い段階で決めさせていただきました。 すごくいい演技してくれました 」と回答。

写真奥:水瀬いのりさん 写真手前:吉田羊さん(C) KOKOSAKE PROJECT

写真奥:水瀬いのりさん 写真手前:吉田羊さん (C) KOKOSAKE PROJECT

さらに主人公の母役に吉田羊さんを起用した理由を、「順の母は、シーンは多くありませんが、 劇中でかなりのキーマン。吉田さんのことは、ドラマなどを見ていて演技がすばらしいと思っていたので、短いシーンだけど強烈な印象を与えたいということと、キーマンということで、監督含めてお願いしようということになりました。アフレコの時から魂を込めてもらって、かなりハマっていると思います」と話していました。

 

言葉の大切さ、青春・恋愛の素晴らしさ、辛さ、青さ、そんな青春時代のすべてが詰まっている作品に仕上がっている「ここさけ」。「あの花」ファンはもちろん、全世代で共感できる内容となっています。9月19日から全国でロードショーされますので、この秋の予定に組み込んでみてはいかがでしょうか。きっと観た後には、心の叫びたい言葉が溢れ出てくることでしょう。

information:
●公式HP: http://kokosake.jp
●公式TW: @kokosakeproject /公式FB: kokosakeproject
●公開日: 9月19日(土) 全国公開
●配給: アニプレックス   
●制作: A-1 Pictures 
●製作:「心が叫びたがってるんだ。」製作委員会 

print
いま読まれてます

  • 「あの花」の余韻も。「ここさけ」プロデューサーが明かす製作裏話
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け