戦略コンサルタントとして活動する、中久保浩平さんの無料メルマガ『ビジネス真実践』。今回は「近いうちにお返事を……」といった、期限を切らない返事に対して大いに苦言を呈しています。中久保さんご本人も、このテキトーな返事でヒドイ目にあったことがあるようで……。
期限のない返事「良いことなんて1つもない。」
お客様を含めたあらゆる取引先との間で、「近いうちにお返事させてもらいます」とか、「もうちょっとだけ待ってください」とか、「今月中にはなんとか……」など、時間稼ぎともとれるテキトーな返事をしたことがある、という経験がある人は、少なくないんじゃないでしょうか。
その内容(案件)を自分1人では決められないので、稟議を通して決済をもらうのに時間がかかる、とか、内容(案件)に対して検討する時間がかかる、とか、忙しいのでその内容(案件)にまで手が廻らない、という理由からくるのが大半でしょう。
確かに、決済権がなかったり、とてつもなく忙しかったりなど、さまざまな事情はあるかも知れませんが、期限の無い曖昧な先送りの返事をしたところで、それは取引先にとっても、その話を受けた自分自身にとっても、何1つ良い事はありません。
どういうことかというと……
期限が無いということは、その内容(案件)についての行動力・対応力・判断力が鈍ります。また、場合によってはズルズルになり、いつまで経っても物事は進まないままで、せっかくの良い話も流れていくということもあります。
そして、そのことは話を持ちかけてくれた相手、提案してくれた相手、案件を持って来てくれた相手にとっても迷惑になります。
以前にこんなことがありました。
とある経営者が、新規事業を立ち上げる際のマーケティングや店舗開発のサポートをして欲しいというので、その事業内容を詳しく伺いました。
そして、「それでは、こうこうこういう風に進めていきましょう」と互いにコミットメントしながら打ち合わせを何度も繰り返し、1つ1つプランを固めて行きました。
すると、その社長さん。「事業の立ち上げは実際3ヶ月先くらいになりそうなので、このプラン、実行までちょっと待ってもらっていいですか?」というので、「いいですよ、3ヶ月先ですね。ではそれまでの諸々の準備についても、お手伝いできることがあると思いますのでご連絡くださいね」ということで話はまとまりました。
3ヶ月後、何の連絡も無いので「社長、そろそろ立ち上げの時期ですよね」と連絡を入れてみると、「融資に時間がかかっていて、もう少し待って下さい」というのです。
理由が理由でしたので、仕方がないか……。
「では、あとどれくらい時間がかかりそうですか?」と聞いてみると「う~ん、なんとも言えません」と渋い返事。
「分かりました。では動きがあればご連絡下さい」
その後、何の連絡もないまま話は流れていきました。
それまでの準備、打ち合わせ、プランニングが全てパーとなり、時間の無駄となりました。もしかしたら、他でやっている可能性もありますが。
とまぁ、物事を進める際にはどんな細かいことでも、必ず「期限」をつける。その期限が守られなかった場合どうするのか、ということをきっちりと管理し共有しておかないと、互いに徒労に終ります。
自分に決済権がなければ、稟議に上げて決済にどれくらいの時間が必要か、ということを踏まえて相手に対する応対として、最低限いついつまでに返事をする、というように期日を伝えることは出来ます。
多忙を極めていても、スケジュール管理がきちんと出来ていれば、いついつまでには返事が出来そうである、ということが分かるはずなので、相手にその期日をきちんと伝えることは出来ます。
どのような相手であっても、それが相手に対するマナーです。「忙しかったので」や「決済権がないので」は、通じません。
期日を相手に伝えれば、その期日までに検討したり、判断したり、判断を仰いだり、動けるものは動いたり、などと何らかの行動が必ず伴うわけで、「先延ばしにする言い訳が出来ない状況」を自分自身で作ることが出来ます。
しかし、いつまでもテキトーな返事を繰り返していれば、自分自身の行動力や決断力は鈍くなり、相手に対しても「引っ張るだけ引っ張って……」と嫌な思いをさせることになります。
結果、その相手との関係は築いていけません。というか、信頼を損ねることもあります。
何かを頼まれたり、逆に何かを頼んだり、物事を進めていく際には、全てにおいて期限を決めてお互いに共有・管理することです。
いってみれば、当然のことです。
その当然のことが出来る人がやっぱり信頼されるのです。
今日のまとめ
『期限の無い返事に良いことは何1つ無い』
・期限を決めないことによる弊害(相手への迷惑や自分に対するデメリットなど)を列挙する。
・列挙したものを現実とならないようにするための工夫や管理法などを考えまとめる。
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