「北朝鮮で競馬解禁」報道。賭博禁止の国で何が起きているのか?

 

問題は競馬を認めた理由は「子ども用の遊園地などの娯楽施設をいくつか作ったが、今度は大人用の娯楽施設」として競馬レースを認めたようだが、基本的には「人民に娯楽を与えること」よりも、「人民が持っている外貨を吐き出させる」のが目的のようだ。

北朝鮮の人民はタンス預金として自国の貨幣よりも、「ドルと円」を貯めている。これは自国のお金は国境の河を渡れば「単なる紙屑」でしかないことを知っており、かといって中国の人民元は中国内でしか通用しないことも知っている。しかし、「ドルや円は金と同じく価値が減ることがなく」、「何よりも脱北した時にはドルや円が必要」という認識があり、自国の貨幣が貯まると、せっせと闇市場でドルや円に換えるのである。このため、ドルや円の価値はうなぎのぼりになるのである。

ところで、「3年の刑」に処されるというが、その根拠は何か(何をもとに3年と断定しているのか)。愛読書の『朝鮮民主主義共和国主要法令集』の「刑法」を見てみると、「刑法 第8章『社会主義共同生活秩序を侵害した犯罪』の第266条『賭博罪』に『金銭又は物品を賭けて賭博をした者は、2年以下の労働鍛錬刑に処する。情状が重い場合には、5年以下の労働教化刑に処する』」と規定している。

競馬は花札と同じく「日本時代の残滓」として忌み嫌って禁止してきたのであるが、はたしてこの競馬はいつまで続くのか。競馬といえば総連系のモランボンの社長の某氏は「さくらコマース」だったか、ダービーで優勝した競馬の所有者であった。北朝鮮は人民を搾取するために、総連の大物の某氏に競馬のノウハウを聞いたのだろうか。(宮塚コリア研究所代表 宮塚利雄)

※ 最新情報が中国の旅行代理店経由で入ってきましたのでお伝えします。

競馬の開催は、毎年4月と10月の年2回とのことです。編集人は最初月2回かと思ったら年2回でした。外国人の参加、観覧は要相談とのことです。年2回で競馬場の施設や出走馬を維持することができるのでしょうか……。

なお、22日(日)に開催予定だった「第1回秋の平壌マラソン」は特に中止との情報がないので実施されたようですとの代理店からの情報ですが、毎年春の平壌マラソンを伝える中国のメディアが一切報じていません。これはどうしてなのでしょうか。(宮塚コリア研究所 メルマガ編集部)

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元山梨学院大学教授の宮塚利雄が、甲府に立ち上げた宮塚コリア研究所から送るメールマガジンです。北朝鮮情勢を中心にアジア全般を含めた情勢分析を独特の切り口で披露します。また朝鮮半島と日本の関わりや話題についてもゼミ、そして雑感もふくめ展開していきます。テレビなどのメディアでは決して話せないマル秘情報もお届けします。長年の研究対象である焼肉やパチンコだけではなく、ディープな在日朝鮮・韓国社会についての見識や朝鮮総連と民団のイロハなどについても語ります。

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