先日行われた衆議院議員選挙で落選した豊田真由美氏のパワハラ騒動は記憶に新しいですが、企業でのパワハラに関するニュースもよく耳にします。今回の無料メルマガ『採用から退社まで! 正しい労務管理で、運命の出会いを引き寄せろ』では著者で社労士の飯田弘和さんが、先ごろ出されたパワハラに関する画期的な裁判判決を紹介した上で、パワハラ防止に考慮した人事評価の重要性を記しています。
御社の人事評価は、パワハラ防止に考慮されていますか?
先日、東京高等裁判所で、パワハラに対する画期的な判決が出ました。医療機器販売会社「フクダ電子長野販売」事件での判決。この事件への判決で、直接パワハラを受けた従業員に対する損害賠償が認められただけでなく、それをそばで見聞きしていた直接にはパワハラを受けていない従業員への損害賠償も認められました。
社内でパワハラが起きれば、周りの人間も嫌な思いをします。士気も下がります。いつ自分がパワハラの被害者になるかもしれないと、ビクビク怯えることにもなります。ですから、パワハラは、直接攻撃されている従業員だけでなく、周りにいる従業員皆を萎縮させ、不快にし、心を傷つけます。
今回、このような判決が出たことで、職場でパワハラを行えば、職場の誰からでも訴えられる可能性があることがはっきりしました。直接攻撃し傷つけた相手以外の従業員から損害賠償請求されることだってあり得るということです。こういった裁判の場合、直接パワハラを行った加害者と会社の両者に対して損害賠償請求されるのが通常です。
今回、「フクダ電子長野販売」という社名が報道されたことで、「フクダ電子長野販売」=「パワハラ会社」というイメージが出来上がってしまいました。損害賠償額は660万円ですが、その金額以上のダメージを会社に与えたことになるでしょう。
この先、取引先は取引を続けてくれるのでしょうか? この先、人材は集まるのでしょうか? 地域は、このまま受け入れてくれるのでしょうか? 従業員はもとより、従業員の家族も肩身の狭い思いをするかもしれません。
折しも、衆議院議員選挙では、パワハラの豊田真由美氏が落選しています。選挙戦の報道を見ていても、有権者からの厳しい、キツイ言葉が飛んでいました。選挙後、傷害と暴行の疑いで書類送検されました。
会社という密室、議員事務所という密室の中で行われた行為が一般の目に晒された時、厳しい審判が下ります。独裁者、暴君は許されないのです。
今は、告発するためのICレコーダーや映像機器も簡単に手に入ります。告発する手段も、裁判等だけでなく、SNSなど個人で発信することも可能です。
たかが、会社での職位が上位というだけで、全能感を抱き、暴君と化してしまう器の小さい人間を管理職や取締役に就けることが、どれだけ会社にとってリスクとなるか、よく考えるべきです。
人事考課、人事評価は、職務能力や結果・成績だけでなく、人柄・人間性についても行うべきです。特に、役員等を選任する際には、人間性の比重を高めた評価制度を使って判断すべきでしょう。そうでなければ、今回の「フクダ電子長野販売」のように、会社の存続の危機を招くことすらあるのですから。
以上を踏まえて、あらためてお聞きします。
「御社の人事評価は、パワハラ防止に考慮されていますか?」
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