初めて訪れた飲食店で、「この店のおすすめは?」と店員さんに訊くという方、多いのではないでしょうか。ではお店サイドからすると、このような質問を受けた際にどのようなリアクションを取るべきなのでしょうか。今回の無料メルマガ『飲食店経営塾』では著者で飲食店コンサルタントとして活躍中の中西敏弘さんが、お客様からの印象がアップするという「正答」を記しています。
「おすすめ」は「売り込む」「アピールする」よりも、「聴くこと」が大事!
「ねえ! この店のおすすめは何?」
誰しも一度はスタッフに聞いた事があるだろうし、スタッフの立場からすれば、店で働いていると1日に何度も聞かれることであろう。すると、多くのスタッフ、特にアルバイトさんは、「わたしの(僕の)おすすめは、●●です!」と答えるか、もしくは最悪の場合、「全部美味しいです!」と答える事でしょう。
商品知識が高いスタッフがいるだけで、意外に、お客様満足度が高い。それだけ、自分たちのお店の商品を知っているということは、それだけお客様の安心度、信頼度も上がるという事でしょう。それだけに、この「おすすめ」のヒトコマもとても大切な「ワンシーン」なのだ。
ところで、「商品をおすすめ」する際の「あるべき姿」とは、どういう状態で
あろうか? 「おすすめ」とは、お客様にとってのおすすめであるべき。であるならば、お客様にとって「最適な」おすすめができてはじめて、商品のおすすめの「あるべき姿」と言える。
では、お客様にとっての最適なおすすめは、どうすれば分かるのか? スタッフがお客様の心を読み取って…、「このお客様は、さっぱり系の料理を望んでいる」「このお客様は、今は、お腹が空いてそうだから、ボリューム感ある商品を」なんて…、こんなの相手の心を読み取れるような超能力者でない限りできるはずがない。だからこそ、お客様に「今、どんな状態なのか」を聴くことが大切なのである。
- お腹の空き具合は?
- 今日は、どんな気分か?(ガッツリ食べたいのか。じっくりと飲みたいのかなど)
- 今、どんな料理を食べたのか?
- 嫌いな、もしくは苦手な食材は何か?
などなど、お客様に尋ねることが大切なのだ。その上で、「今の」お客様に最適な商品をお店のメニューラインナップから提案することができてはじめて、「商品のおすすめのあるべき姿」ではないだろうか?
なので、この「あるべき状態」に合わせて、スタッフに商品知識を付けてもらうことが大切! 単純に、どんな食材が入っているのか、どんな味なのかだけを覚えるのではなく、
- ボリューム感
- 味
⇒味も、具体的な味よりも、さっぱり系、こってり系、辛い系など、と大まかな味の種類で覚えておく方が、お客様の状況に合わせて提案しやすい。 - 提供スピード
⇒お客様がとりあえずすぐにつまめるものを提案できるようにするため - 個数
⇒から揚げや春巻き等、人数によっては、個数が足りなくなる場合があるため。
このようなことも覚えておくが大切。これらを一覧にして皆で共有するようにすれば、入店して間もないアルバイトでも、実際の料理を見る機会さえ増えれば、ある程度できるようになるはず。
すべての仕事は、お客様が「出発点」でなければならない! スタッフ自身が好きなもの、店が売りたいものをおすすめすることも大切だが、お客様が「食べたい」「望んでいそうなもの」を提案した方が、より満足度は高いはず。そうすれば、「押し売り」なんていう印象を持たれることにもつながらない。
「アピールするか」「聴く」かのちょっとした違いだが、それだけでお客様の印象も随分変わる。ぜひ、やってみてもらいたい!
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