「喉元過ぎれば熱さを忘れる」という成句、やはり真実のようです。現役精神科医のゆうきゆう先生が配信する無料メルマガ『セクシー心理学! ★ 相手の心を7秒でつかむ心理術』では、その裏付けとなるある実験の結果を紹介しつつ、「ショックな事があった時は時間をたたせて、ゆっくり考える」ことをお勧めしています。
喉元過ぎれば熱さを忘れる
実はこんな実験があります。ケロッグ経営大学院の心理学者ロラン・ノルドグレンは、被験者をランダムに、以下のパターンに分けました。
- A「お湯の中に腕を入れた状態」
- B「氷水の中に腕を入れた状態」
さてこの状態で、被験者たちに、「冷凍室で5時間座り続けるのは、どれくらいつらいと思いますか?」と聞きました。その結果、どうなったと思いますでしょうか?
実はこのとき。
Bの人は「冷凍室のつらさ」を、Aの人よりも14%ほど強く見積もっていました。まぁ、当然です。Bは実際に冷たい体験をしているわけですから。「ブルブルブル…! 冷たいのって本当につらいつらい…! 氷水でこんなにつらいんだから、冷凍室に5時間なんて恐ろしい…!」と考えた可能性があるわけです。
逆にAは、「あぁ、お湯ってあったかいなぁ…。幸せ…! なんか冷凍室で5時間っての、体験したことないけど、何とかなるんじゃね?」と考えた可能性もあります。ほんと「知らないって幸せ」ということが分かりますね。
そしてこの実験には、さらに続きがあります。実験者は他の被験者たちを、もう一つのパターンにおきました。それこそが
- C「氷水の中に腕を入れさせ、出したあとに10分たった状態」
というもの。そして同じく「冷凍室5時間」のつらさを判断させたのです。このとき、どうなったと思いますでしょうか?
時間さえたてば
実はこの場合、A「お湯」と同じくらい「つらくないんじゃない?」と判断したのです。
すなわち結論はシンプルです。「人間、どんなにつらくても、終わってしばらくすれば、忘れる」ということ。たった10分でも、戻ってしまうわけです。
実際、お腹が痛くてたまらないときとか、「あぁ神さまごめんなさい! もう真面目に生きます! バストとか言いません!(ブルブルブル)」みたいに思いますね。はい。
でも治ると「神さま? 言ったっけそんなこと? バストバストバストォ!」みたいに思ったりするものです。これはこれで人生大丈夫か分かりませんけども。
人間の判断は、環境で変わる
ですので人間「判断は環境に左右されやすい」ということを、覚えておいてください。たとえば試験に落ちたり、恋人にフラれたりして、自信を喪失しているときは、ちょっとした優しい言葉をかけられただけで「フラッ」といってしまいやすいものです。その相手がいい人ならいいのですが、悪い人だったりすると「泣きっ面に蜂」になります。
特に精神医学では、「うつ病」の人に「大きな決断はさせない」というセオリーがあります。退職・転職・退学・離婚…。そんな大きな決断を、気持ちが落ちているときにしてしまうと、時間がたって後悔することも多くなります。
とにかくショックなことがあったときは、決して大きな判断をせず「時間をたたせて、ゆっくり考える」ということを心がけてくださいね。
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