【社会保障の言い訳】日本の財政は“祖父母が孫のクレジットカードを使いまくっているようなもの”

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田村耕太郎の「シンガポール発 アジアを知れば未来が開ける!」Vol.142(2014年12月5日号)

「日本の財政は“祖父母が孫のクレジットカードを使いまくっているようなもの”」との評論があるが、まさに。

しかし、これは小選挙区制の悲劇だと思う。日本のように対立軸もないのに、小選挙区を入れれば、一般大衆向けのポピュリズムが加速するのは必須。そしてそれは最も頻繁に投票に来てくれる最大顧客である高齢層への配慮となる。このきっかけは田中角栄が1973年に高齢者医療を無料にしたことから始まる。当時は全国で革新市長がどんどん登場し、それを恐れた保守本流の自民党が、革新に負けないくらいの「大きな政府」に舵を切ったことから始まる。

議員時代もこの手の陳情は多く、「戦後の復興を支えたわれわれには手厚い社会保障を受ける権利がある。若いものは今の日本を築いたわれわれに感謝すべき」とのご主張も耳にタコができるくらい聞いたが、腑に落ちなかった。それは世界を行き来していたから。

先の戦争は世界大戦であり、それからの復興は世界中で起こっていたが、その世代がそれを盾に「手厚い社会保障をよこせ」と言っている国は他にないからだ。今回の増税を全政党が先送りしたのは政治的には正しい解であるが、これが日本政治の現実であり、孫世代の時代へ配慮する政治家はいないも同然なので、これへの対応は個々でやるしかない(個々の政治家は言われるよりずっと賢いので、個々の自分の子や孫への対応は自分たちで始めている)。

・祖父母に孫の教育投資への支援をお願いすること

・孫の世代が日本に縛られないでモバイルに生きられる力をつけてやること

・日本円で資産を持たないこと

・中でも日本で銀行預金などできるだけ減らすこと

個人的にはドルでアメリカの強い会社に投資することがいいと思うが、そういうお金があったら子供の教育に投資するほうがいいとも思う。あくまで私見であり、私は投資アドバイザーでもなんでもないので。


田村耕太郎の「シンガポール発 アジアを知れば未来が開ける!」Vol.142(2014年12月5日号)
著者/田村耕太郎
元参議院議員の田村耕太郎です。ノーベル賞受賞者を29名輩出した世界最強のシンクタンク「ランド研究所」、とシンガポールの最強シンクタンクに現在所属中です。人類史上最も世界が繋がった今日、世界の真実を知らない者は生き残れません。自分の身は自分で守るしかない時代、情報武装と論理的思考だけがあなたを救います。最新の情報と的確なものの見方を提供します。皆様のご質問にもお答えします
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