泥沼の中東、暴落のNY株、債務危機の中国。世界を襲う3つの危機

 

米政権の政策

減税とインフラ投資、米軍装備の拡充などで企業の利益は増すことが確実であり、株価は高値維持か上昇する。そして、長期金利は3%以下に固定するのであるから適温相場を保持することになる。その上に、ドル安政策をトランプ政権は行うようである。

しかし、その後は株価の大調整になる。財政赤字で国債発行量が多いが、中国は買わないので、金利を下げるためにFRBが買うことになる。

もう1つ、ドル安にするという。日本企業の海外利益を年度末の配当などが必要で日本に戻すための円買いはあるため、円高になりやすいが、その上に米国機関などがユーロ・円買いドル売りをするが、買った円をどうするのであろうか?

私は日本株に再投入するしかないと思っている。ゼロ金利の日本国債を買うことはないはずで、日本株買いである。

しかし、米国は日本とは違い人口が増加しているので、物価上昇が比較的容易に起こり、そのため賃金UPで物価3%以上に上昇したら、3%以上に短長期金利も上げざるを得ないことになる。

長期金利を下げることは、米国債をFRBが買い入れることでできるが、実体経済での物価上昇はFRBには止めることができない。また、長期金利を押し下げるために、米国債買いをFRBが行うということは量的緩和であるが、短期の政策金利は上げるというアクロバット的な金融政策になることを意味する。

無理な金融政策は、その反動も大きいことを覚悟する必要がある。今年後半は米株大暴落が確実になっているとみる。それまでは株価は高値維持か上がることにはなるが、上がった時期に株式投資家はなるべく早く手仕舞ったほうがよいと思うがどうであろうか? 「頭と尻尾はくれてやれ」の意識が必要である。

中国経済

海外投資を膨らませている海航集団、安邦保険集団、大連万達集団、復星集団の資金調達が厳しくなり、海外資産の投げ売りが始まっている

ドイツ銀行株を持つ海航集団は、大量のドイツ銀株を売りドイツ銀の株価は15ドルになった。大連万達集団は、ホテルとテーマパークの大半を売却すると発表した。安邦保険集団は、保険未払いの可能性があり、政府の管理下に置かれたなど、中国経済の変調をうかがわせる事態が出てきている。

金融危機のサインであるミンスキー・ポイントであると解任時の記者会見で述べていた周小川中国人民銀行前総裁の言葉の通りの事態になってきた。このため、金融引き締めを政府も行い始めていることによるが、金融引き締めを行うと確実に景気は悪くなる

投資経済の中国では、インフラ投資がなくなり、その上に民間投資も減退することで、景気後退の可能性が出てきているように感じる。今年度中には景気後退が表面化する可能性がある。

米株価は、無理な高値維持策で持たせる方向であるが、中国経済は確実に減速するようである。日本企業の業績を左右することになる。

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