MAG2 NEWS MENU

習近平、事実上の「皇帝」に。憲法改正で国家主席の任期撤廃

中国での絶対的権力者である「国家主席」。現在の国家主席は習近平氏ですが、同氏は憲法を変え、5年2期までという任期の撤廃を目論んでいます。実現すれば「終身国家主席」になる可能性も出てくるわけですが…、無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』の著者で世界情勢に詳しい北野幸伯さんは、この状況をどのように見ているのでしょうか。

習近平、【終身】国家主席へ大きく前進

非常に重要なニュースが入ってきました。習近平が、「憲法を変えて、5年2期までという規制を廃止する」というのです。

中国主席、任期撤廃案…習氏の長期政権に道

読売新聞 2/25(日)18:44配信

 

【北京=竹内誠一郎】中国国営新華社通信は25日、中国共産党中央委員会が、「2期10年」と憲法が定める国家主席と国家副主席の任期について、この規定を削除する憲法改正案を、3月5日開幕の全国人民代表大会(全人代=国会)に提案すると伝えた。

皆さんご存知のように、中国は「共産党の一党独裁国家」。しかし、国家主席の任期が「1期5年」「2期まで」という規定によって、ある程度「独裁者の誕生が阻止されていました。実際、毛沢東後の指導者は、「それほど絶対的な独裁者ではなかった」といえるでしょう。

改正されれば、2013年就任の習近平(シージンピン)国家主席(党総書記)は、2期目の任期が満了する23年で3選が可能となり、長期政権への道が開かれる。全人代は事実上、党の指導下にあり、改正案の採択は確実だ。
(同上)

改正案の採択は確実だ」そうです。「3選が可能となり」といいますが、実際は、4選、5選、6選、7選、8選、9選、10選も可能ということでしょう。習近平は、これからも政敵をバンバン倒していくでしょうから、「死ぬまで国家主席でいる」ことだって可能になります。

というわけで習近平、「終身国家主席」に大きく前進です。

影響は?

この決定、中国や世界に何か影響があるのでしょうか? 普通に考えれば、「中国と習近平の評判が悪くなる」ということでしょう。ただでさえ民主的でない中国の政治システムがさらに民主的でなくなります

そして、習近平の中国は、さらに

を強めていくことでしょう。なぜ???

中国は、国家ライフサイクルで「成長期後期の末期」にあります。今後二ケタ成長などは望めず、成長率は、どんどん低下していく。景気が低迷すると、国民の不満が高まる。しかし、習近平政権は、国民の不満を報じることを禁止するでしょう。さらに、不満は、「反習近平の政治運動を生み出します。それが大きな運動に発展しないよう、容赦なく弾圧することでしょう。習近平との政争に敗れた人、危険を感じている人などの西側への亡命がますます増加しそうです。

全般的には、「私が死ぬまで国家主席をやる」という決意は、中国国家に良い結果を残さないでしょう。問題は、欧米や国際金融資本が、「習近平の権力欲は危険だ」といつ確信するかですね。彼らが、はっきりそのことを自覚すれば、中国の体制崩壊は速いと思います。

私たちは、欧米の反応、国際金融資本の反応に注意していましょう。

image by: thelefty / Shutterstock.com

北野幸伯この著者の記事一覧

日本のエリートがこっそり読んでいる秘伝のメルマガ。驚愕の予測的中率に、問合わせが殺到中。わけのわからない世界情勢を、世界一わかりやすく解説しています。まぐまぐ殿堂入り!まぐまぐ大賞2015年・総合大賞一位の実力!

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 ロシア政治経済ジャーナル 』

【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け