「ただ塗るだけで美肌に」などと謳われている酵素モノ。しかしこれらが「トンデモ」であることは、小中学校の理科の授業で習っているはずなのです。今回の無料メルマガ『アリエナイ科学メルマ』では著者で科学者のくられさんが、「酵素の真実」についてきっちりと記しています。
酵素と酸素は違う(笑)
小中学校の理科の内容ですが、ここがリテラシーの分岐点だと思うのであえて書いておきます。
言うまでもありませんが、酵素……というのは、多くの生物が作り出すタンパク質のことで、いろいろな酵素があり、いろいろな場所でいろいろな酵素が生命活動を支えています。言葉的には「動物」くらい広い意味の言葉で、その中身はというと、大半がタンパク質で、例えば唾液の中の酵素「アミラーゼ」はデンプンの消化を助けるため、デンプンという糖の繋がりを切る働きがあります。なのでご飯を口の中でずっと噛んでいると、アミラーゼの働きによって甘く感じるわけです。そのあとも胃液の中のペプシンという酵素、トリプシンやらリパーゼやらいろいろな酵素の働きがあるように、「酵素」というのは非常に広い意味がある言葉であるわけです。
一方酸素は、水素、酸素、塩素と、この世界を構成する「元素」の一種であり、逆に言えばこの元素さえ取り入れれば健康になる(美肌になる)なんてものは存在しません。
このように理学用語における「素」というのは、いわゆる総称に付ける言葉と、元素にまつわる言葉でよく見られます。これが中高の理科くらいの内容さえ忘れてくると、この区別もつかなくなってきて、その結果、インチキ科学の怪しい商売にひっかかることに繋がるわけです。
逆に言えば、インチキ科学ビジネスを行ってる連中の考えは「その程度の区別もできない人を食い物にする」「バカ一本釣り」と中の人が言ってるように、広く浅く広告を打って、リテラシーの無い人や、藁をもすがる人をつり上げて、確実に利益を回収したいというのが「詐欺師の本音」であるわけです。
以前、スパム業者の人に話をきく機会があったのですが、「俺俺、木村拓哉だけど こんど合コン来ない?」レベルのあからさまな出会い系サイトへの誘導ウソスパムでさえ、10万通送ると、数十人返事が来て、20人はガッツリハマる…というこの世の闇を聞きました。
教養…リテラシーは自分の財産を守る武器なのです。
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