商売を「粗利で判断」がナンセンスな訳はクルマ産業を見れば判る

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営業マンのみなさん、会計と財務の基礎知識を備えるだけで営業成績が向上するってご存じですか? 大手理系商社にて5年連続ナンバーワンの営業実績をもつ「理系営業マンお助け人」さんがお届けする無料メルマガ『理系営業マンのための3分ニュース』の最新号では、忙しい営業マンでも週末の3分間で身につく、いま押さえておきたい「会計と財務」の基本のキについて分かりやすく解説。営業マン以外の方も必見の基礎知識です。

営業エッセンス「売上、原価、粗利、営業利益、利益率、営業利益率」

これまでのメールマガジンではビジネスに失敗しないコツとして下記の4つのポイントをあげ、各々の項目について解説をしてきた。

  • 利益率が高い商売
  • 大きな初期投資が必要ない商売
  • 不良在庫のリスクがない商売
  • 月極で収入を見込める商売

今回のメールマガジンでは、営業マンとして最低限知っておくべき会計と財務の基礎について解説する。

まず初めに断わっておくが、私自身は会計や財務のプロではない。営業マンとして活動していくうえで必要となる会計や財務上の知識を経験上多少知っているにすぎない。

仮に本メールマガジンを読んでいる読者が起業家であり、自身の会社の財務状況を改善するために本メールマガジンを参考にしようとしているのであれば、それはお薦めしない。

そのような重大な決断をする場合には会計士や弁護士の力を借りるべきだ。

ただし、会計士や弁護士と話をするためにはここで述べるような会計と財務に関する知識は少なからず必要となる。

起業家の方にはそのような認識でこの記事をお読みいただきたいと思う。

商売をするには、まずは売上原価粗利営業利益利益率営業利益率6つの概念を知る必要がある。

売上:製品は販売することにより得られる現金または現金が得られることを保証するもの

原価:製品の製造コストないしは仕入値

粗利:売上-原価

営業利益:粗利-経費

利益率:粗利を売上で割った割合

営業利益率:営業利益を売上で割った割合

例えば、100万円で製品を仕入れて80万円のコストをかけて200万円で販売したとしよう。その場合の各指標の値は以下のようになる。

売上:200万円

原価:100万円

粗利:100万円

営業利益:20万円

利益率:100万円/200万円=50%

営業利益率:20万円/200万円=10%

ここで重要となってくるのが、営業利益と営業利益率だ。基本的に営業利益がプラスとなっていればその商売は上手くいっていると判断できるし、営業利益率が高ければ、その商売の未来は明るい。一方で営業利益がマイナスとなっている場合には何かしらの施策をほどこさなければその商売を継続することは難しなる。また営業利益がプラスであったとしても営業利益率が低ければ、薄利多売が必要となりその商売は難しくなる。

たまに商売を粗利で判断する人がいるが、それはまったくのナンセンスである。

例えば、自動車の場合、原価は販売価格の3割程度と言われている。この数字を基にして粗利を計算すると300万円の自動車を販売した場合には、200万円の利益を得ることができることになる。

粗利だけで判断すると自動車のビジネスというのは非常に多くの利益を生むように感じるが実際にはそうでもない

2017年の自動車各社に実績もとに計算すると、トヨタ自動車が1台あたり26万円、ホンダが7万円、日産自動車にいたっては1台あたり5万円の営業利益しか得ていない。

これは粗利から開発費用、販売促進費、人経費等の経費を差し引くと実際にはこれだけの利益しか残らないことを意味する。営業利益率が高い産業の代表格として知られる自動車産業ですらこのような状況だ。

商売というのは意外と儲からないものなのだ。

ちなみにコモディティ製品を販売する産業の場合には、営業利益率は低くなる。コモディティ製品とは、スーパーで販売されている食料品やガソリンスタンドで販売されているガソリン等、どこで購入しても同じと思われている製品のことだ。

これらの製品を販売する分野では、製品を価格で差別化をしようとするために価格競争が始まり、営業利益率がさがり商売を難しくする。また少ない営業利益で大きな利益を得るためにはビジネスの規模を大きくする必要があり、そのことはしばしば商売を難しくする。

以上が財務の基礎となる。

この内容を踏まえたうえで、応用編として次回は「損益計算書」、「貸借対照表」、「キャッシュフォロー計算書」について解説する。退屈な内容が続くが、今しばらくお付き合いいただきたい。(次号へ続く)

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