O社社長 「『退職承諾書』ってどんなこと書いておくものなんですか?」
大塚 「『平成〇年〇月〇日に貴殿から届出のあった『退職願』を受理し、平成〇年〇月〇日の退職について承諾いたしました』って感じでいいと思います」
O社社長 「ありがとうございます」
大塚 「一方、『退職届』は、辞職の申出であり、労働者の一方的な退職の意思表示ですので、極端に言うと、使用者が退職届を受け取った時点で効力が発生しますので、気をつけてくださいね」
O社社長 「え~、そうなの?」
大塚 「ガチガチの言い方をすると、という前提ですが、民法の第627条をご存知ですか? つまり従業員が退職届に記載した退職日と届出日の間が原則14日間以上あれば、法的には使用者はこれを拒めないんです」
O社社長 「14日?」
深田GL 「労働者と使用者が労働契約を終了する場合、3つのパターンがあるんです。予告期間については、一般法である民法627条第1項では、労働者、使用者どちらについても2週間の予告期間があれば、いつでも契約を解約することができることになっています。特別法である労働基準法では、使用者からの契約解消には、30日の予告期間が必要とされています(例外として解雇予告手当を支払うことによる期間短縮は可能)。合意退職は、両者が合意するなら予告期間は不要です」
O社社長 「つまり、労基法上と、民法上と、合意退職のパターンと、3つあるってことなんだね」
深田GL 「はい、そのとおりです」
O社社長 「届を出されちゃったら、終わりってわけ?」
深田GL 「さっき、ガチガチで…と前置きしましたとおり、当然にお話合いの余地があれば、していただいていいですよ。でも、ご病気の場合など、14日も待てないんだなんていう退職理由があれば、そこは仕方ないですよね…」
大塚 「一般的な退職希望時には、『退職願』を書いていただく、先にお話合いがあって退職が決まっているようなケースの場合は、『退職届』でも問題ないですよね」
O社社長 「なんとなく使い分けがわかりました。ありがとうございます」
● 民法第627条
(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)
第627条
- 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
- 期間によって報酬を定めた場合には、解約の申入れは、次期以後についてすることができる。ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない。
- 六箇月以上の期間によって報酬を定めた場合には、前項の解約の申入れは、三箇月前にしなければならない。
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