素人が、日頃から訓練を行っているプロの格闘家と、素手で戦っても勝てる見込みはないでしょう。格闘家は素人と比べると、戦う前から大きなアドバンテージがあります。さて、プロの格闘家がケンカをすると、素人よりも重い罪が科せられると言われていますが、実際のところはどうなのでしょうか?
素人もプロも成立し得る犯罪は変わらない
他人に暴行を加えると暴行罪(※暴行したが傷害に至らなかった場合に適用される)、傷害を負わせると傷害罪が成立します。これら犯罪の罰則は、以下のとおりです。
罰則の内容 |
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《以下のどれか》 ・2年以下の懲役 ・30万円以下の罰金、 ・拘留(1~30日未満の刑事施設への拘置) ・科料(1,000円~1万円未満の財産刑) |
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15年以下の懲役または50万円以下の罰金 |
素人もプロの格闘家も基本的に成立する犯罪は同じです。しかし、プロの格闘家であるという事実が、相手が重大な傷害を負う可能性が高いことに鑑みて、加害者側に不利な情状として評価される可能性はあります。
格闘家は正当防衛が認められづらい?
ケンカの場合、当事者双方がお互いに攻撃し合っているため、互いに正当防衛が認められる余地は否定できません。しかし、素人と格闘家のケンカの場合、格闘家の側に正当防衛を認めることは困難な場合もあり、仮に防衛行為と認められても過剰防衛と評価される可能性はそれなりにあります。
(正当防衛)
第三十六条 急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。
2 防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。
引用:
というのも、格闘家の攻撃力は、素人の攻撃力より明らかに強いため、素人からの攻撃に防衛する際の反撃行為が、防衛として相当な範囲を超えていると評価されてしまうリスクが不可避であるからです。
まとめ
暴行罪・傷害罪のいずれも素人と格闘家に成立する可能性に違いはありません。しかし、格闘家の攻撃は加害性が強いことから危険であるとして、有罪となった場合の罪が重くなる可能性があります。そのため、格闘家の人は自分の攻撃が危険であることを十分自覚し、軽率な行動を取るべきではありません。
ただ、格闘家であるという理由だけで正当防衛が成立しないわけではありません。格闘家の行為でも、防衛のためにやむを得ない行為であれば、正当防衛は成立します。したがって、格闘家であっても真に自分や他人の身を守るためにやむを得ない場合は、必要最低限の範囲で反撃することも許されますので、留意してください。
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