企業の数も減っている
しかも、日本経済の場合、新興企業が育ってきていないだけじゃなく、企業の数自体が減っているのです。日本の会社はこの15年間でなんと100万社も減少しているのです。中小企業白書によると、日本の企業は1999年には484万社ありましたが、2014年には382万社になっているのです。15年間で100万社、実に20%以上の激減です。日本も以前は会社の数は増え続けていましたが、80年代前半に開業する会社より廃業する会社の方が多くなり、会社の総数は減少に転じたのです。
ほとんどの先進国では、微増ではありますが会社の数は増え続けています。日本だけが企業の数が激減しているのです。つまり日本は、子供の数が減っているだけではなく、企業の数も減っているわけです。
なぜ日本で新しい企業が育ちにくいのでしょうか? その最大の要因は、日本の業界のあらゆる業界は「既得権益」「規制」で固められているため、新規に入っていける隙がないことです。
筆者は下級官僚として、日本経済の現場を見てきました。驚いたことには、日本の産業ではあらゆる業界に「既得権益」と「規制」があり、新規参入は非常に難しいのです。日本の各産業は表立った「規制」ばかりではなく、さまざまな方法で新規参入者が入ってこられないような仕組みをつくっているのです。というより、まったく自由参入できる業界というのは、数えるほどしかないのです。
輪の中に入れればいい目を見られるけれど、輪の中に入れなければ生きていくのも困難、日本経済はそういう状態になっているのです。つまり「コネ」があるものだけが潤い、それ以外の者はやっていけない社会になりつつあるという事です。
そして、それが人や企業の少子高齢化を招いているのです。一部の大企業やコネのある人たちは、いい生活ができるけれど、そのほかの人たちは、非常に苦しい生活を強いられているのです。日本では1週間48時間まともに働いても、妻と子供二人を十分に養っていくだけの収入を得られる人はなかなかいません。しかし、そういう国は、世界ではそう多くはないのです。
日本より貧しいとされている国は世界中にたくさんありますが、正職についているのに妻と子供二人をまともに養っていけない国はそう多くはありません。日本では、家賃や生活費に比べて賃金が非常に低いので、平均的な給料をもらっている人でも、妻と子供二人を養うことは、かなりシンドイことなのです。その一方で、日本の企業は、内部留保金を450兆円もためこんでいるのです。企業の内部留保金の額は、断トツで世界一なのです。
今の状態が続けば、間違いなく日本は衰退していくでしょう。というより、もう手遅れかもしれません。経済データを分析していけばいくほど、そういう結論に達してしまうのです。
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