なぜ、佐賀県は「フル規格新幹線」に反対し続けているのか?

 

そういえば、総裁選の「巡回演説会」で、安倍・石破の両候補が佐賀に来ました。石破さんは地方創生の観点から「フル規格」を言うかなと思っていたのですが、「佐賀の反発を恐れた」のと「ここで石破さんが言うとかえって問題が解決しない」と言う計算があったのでしょう。話題にはならなかったようです。

この問題、とにかく「ねじれ」と「もつれ」の結果、ここまでズルズル来たわけですが、何とか「フル」で丸く収まって欲しい、そのためには全くの私案ですが「三方一両損方式というのも一案と思います。

現在の新幹線は「通過距離に応じて地元負担」と言うのが厳格に決められているのですが、この長崎ルートの新幹線に関しては、長崎はメリットが大きく佐賀にはデメリットが大きいわけです。そこで、「長崎は多めに負担する」「佐賀も一部は出す」「国が残りを出す」という三者で1000億円を分担するという考え方です。厳密に三分の一ずつと言うのではなくて良いのですが、とにかく佐賀の負担を下げる知恵を引っ張って来る必要があります。

その佐賀では、堤防開門を「しない」ことによる漁業補償問題がありましたが、こちらは「佐賀空港にオスプレイを配備」する代わりにカネを出すという、世論的には「一部には相当な不快感を与える」裁定になっています。新幹線の場合は、もっとスッキリと県外の納税者にも理解のできるような落とし所を探って欲しいと思うのです。

佐賀の言い分は痛いほど分かるのですが、このままではインバウンドにも大人気の九州の観光インフラが不完全な格好で長期化するのではと心配になります。

image by: Shutterstock.com

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東京都生まれ。東京大学文学部卒業、コロンビア大学大学院卒。1993年より米国在住。メールマガジンJMM(村上龍編集長)に「FROM911、USAレポート」を寄稿。米国と日本を行き来する冷泉さんだからこその鋭い記事が人気のメルマガは第1~第4火曜日配信。

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